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2010年09月08日

悪意の不当利得の成否

被告の悪意の不当利得の成否,及び法定利息の始期(争点②について)

(1) 原告は,前示第2の3(2)(原告の主張)のとおり,被告が悪意の受益者である旨を主張し,これに対し,被告は,前示第2の3(2)(被告の主張)のとおり,(a)本件弁済当時,被告が超過利息の受領についてみなし弁済が成立しないことを知りながら利得をしたことの主張立証責任は原告にあり,また,

(b)本件取引当時,自己がみなし弁済の要件を具備し,同弁済が成立しているとの主観的認識を有していた旨を主張している。

(2) そこで検討するに,民法704条所定の悪意とは,利得者が自己の利得に法律上の原因が存在しないことを知っていることをいうが,それをもって足り,利得発生の具体的な時期やその金額について確定的な認識を有していることを要しないと解するのが相当である。

これを金銭消費貸借契約についてみるに,(a)利息制限法1条1項は,制限利率超過の契約が,超過部分につき無効である旨を明確に規定しており,(b)これに対し,貸金業法43条は,同条所定の要件を具備した弁済は,利息制限法の上記規定にかかわらず,有効な弁済とみなす旨を定めているにすぎない。

また,(c)一般に,みなし弁済の要件の具備は,貸主において主張立証すべき事項と解されている。

そして,(d)制限利率超過の利率による継続的な金銭消費貸借取引において,上記(a)の無効な契約部分に基づいて超過利息に対する弁済が続いた場合,既存の借入債務への弁済金の充当によって,過払金が発生することは見易い道理というべきである。

以上の点を考慮すれば,制限利率超過の利率による継続的な金銭消費貸借取引について,

借金返済をしている個人が過払金の不当利得に対する貸主の悪意をいうためには,制限利率超過の利息の定め及びその弁済があったことを主張立証すれば足り,

②これに対し,貸主は,(ア)自己が当該取引に貸金業法所定のみなし弁済の規定の適用があると信じていた事実だけでなく,(イ)その信頼に正当な客観的根拠が存在することを主張立証しなければ,自己の悪意に関する借主の主張を排斥することができないと解するのが相当であるところ,本件に提出された前示第2の3(2)(被告の主張)掲記の各事情が,直ちに上記(イ)の正当な客観的根拠に該当するとは認められない。

(3) したがって,被告の前示(1)の主張は,直ちに採用できず,被告が不当利得時から悪意である旨をいう原告の主張には理由がある。

(4) そのほか,被告は,借主の合理的意思の推認を理由に,民法704条所定の法定利息は,最終取引日以降について請求できるにすぎない旨も主張しているが,上記1(2)の弁済充当に当たり,原告が被告主張の趣旨の指定をしたと認めるだけの根拠はなく,被告の上記主張も採用できない。  


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2010年08月26日

人生の転落劇場

 被告人は,平成元年8月20日ころ,事前の連絡をしないで,いきなり家
財道具をトラックに積んで,広島県福山市に住むLやVのもとに赴き,Vに頼ん
でアパートを探してもらった上,保証人になってもらい,Lが経営するL工業有
限会社に配管工として就職し,その後,間もなくKとの同居生活を始めた。被告
人は,しばらくの間は,雑用を含めてまじめに勤務していたが,身元引受人であ
るLに相談をすることなく,自分の判断で仕事を進めたり,自動車を購入したり
し,同年9月下旬には,サラ金業者からの借入れをするようになった。また,仕
事を終えた後や休日にパチンコ店に通い,次第に熱中するようになり,たまに勝
つこともあるが,1万円から2万円くらい負けることが多く,1日に4万円とか
7万円くらい負けることもあり,負けを取り戻そうとして,さらに金をつぎ込む
ようになり,Kや母親などからパチンコをやめるように注意されても改めなかっ
た。そのため,平成2年4月,正式にKと婚姻し,同年11月には長女が誕生し
たにもかかわらず,L工業から支給される給料や健康飲料の配達などのアルバイ
トをして得た収入だけでは,生活費や遊興費などが足りない状態が続いていた。
そして,母に何度も金を無心したほか,生活費やKが支払いのために保管してい
た光熱費まで取り上げてパチンコにつぎ込み,パチンコ代や生活費,借金の返済
資金等に充てるために,さらにサラ金業者からの借入れを繰り返し,数百万円に
上る借金を抱えるに至り,母に頼んで100万円弱の返済をしてもらったことも
あるが,その後も,借入れを続けた。また,L工業が忙しいために後日工事を行
うことで断った工事を,Lの二男と二人で無断で受注し,その利益を折半してい
たところ,平成3年11月20日,このことがLに発覚してL工業を解雇された。
 被告人は,L工業の同業者方に配管工として就職したが,平成4年1月こ
ろには,刑務所仲間の男性を通じてAと知り合い,同人らをこの勤務先に就職さ
せたり,アパートを世話するなどし,特にAと相性が合い親しくなった。そし
て,同年2月,同僚と口喧嘩したことなどが原因で被告人が退職すると,間もな
くAも退職し,同年3月中旬ころから,Aと共同して茶の訪問販売を始め,広島
県三原市内に住んでいる被告人の姉Mから,B(明治38年3月20日生)を含
む10軒程度の紹介を受け,B方を訪問して茶を買ってもらうなどしていたが,
被告人は,足の悪いBに同情して,同月24日,Bを自動車に乗せて病院まで送
迎したり,薬局まで薬を取りに行ったりした。
 しかし,茶の訪問販売では思うように利益が上がらず,被告人は,サラ金
業者等に対する600万円余りの借金返済に切羽詰まり,同月28日,福山市e
団地に停車した自動車の中で,Aと金策の方法について相談し,Aから盗みでも
するかと言われたのに対し,被告人は,犯行が発覚した場合には仮出獄が取り消
されて長期の服役になることを考え,強盗を提案し,Bが金を貯めているかも知
れないと考えて同女に狙いを付け,さらに,犯行の発覚を防ぐためには顔を知っ
ているから殺害するしかないと話し合い,強盗殺人の実行について謀議を遂げ
た。そして,Aが,コンビニエンスストアで,荷造り用のビニール紐と軍手二双
を購入した。
 被告人らは,同日午後7時ころ,B方を訪れ,室内に入れてもらい,Bに
借金を申し込むと貸してもらうことができたため,現金をかなり持っているもの
と判断し,Bを殺害する意思を固めた。そして,Bを外に連れ出して殺害した
上,B方に立ち戻って金品を強奪する旨意思を相通じ,甘言を弄してBをドライ
ブに誘い,同日午後10時ころ,被告人が運転する自動車にBを乗車させて出発
し,人気のない殺害場所を探し回り,翌29日午後2時ころ,本件犯行現場の林
道に至り,強盗殺人の犯行を遂げた。
 (2) 以上の認定事実を前提に,本件犯行に至る経緯及び犯行の動機についてみ
てみると,被告人は,昭和48年10月に強盗殺人という重大事件を起こし,無
期懲役の刑を受けたが,まじめな服役態度や社会内での更生及び贖罪の意思を示
していたことに加え,親族による身元引受けや就職先が確保され,更生環境が整
備されていることが評価されて,服役開始後約14年9か月という比較的早い段
階で,仮出獄を許されたのであり,無期懲役の受刑者としては,かなり恵まれた
環境の下で仮出獄の生活を開始したということができる。それにもかかわらず,
賭け事に手を出さないという仮出獄の条件に反して,パチンコにのめり込んで借
金を繰り返し,妻や母からパチンコをやめるように忠告されても従わず,不審に
思った保護司から生活状況を尋ねられた際も,正確な報告をしないでごまかし,
適切な生活指導を受ける機会を自ら逸している。そして,勤務先に対する背信行
為や同僚と喧嘩したことなど身勝手な理由により,解雇されたり退職したりし
て,自ら安定した収入の途を閉ざし,無計画な生活を送り,いよいよ借金の返済
資金に窮し,姉の紹介により好意で茶を購入してくれた被害者に狙いを付け,し
かも,Aから盗みを提案された際,被告人は,無期懲役刑の仮出獄中であること
から,小さな盗みでも発覚した場合には仮出獄が取り消されて長期の服役にな
る,どうせやるなら大きな犯罪をやった方が良いなどと考え,一攫千金を狙うと
ともに,犯行が発覚しないようにするため顔見知りの被害者を殺害することとし
て,本件強盗殺人を計画し,実行したのである。被告人は,仮出獄の趣旨を逸脱
して,遊興に溺れた生活を送っていたのであり,本件犯行に至った経緯は甚だ芳
しくなく,犯行動機の悪質性,反社会性は顕著であり,酌量の余地は全くない。  


Posted by のんのん at 17:03Comments(0)

2010年05月28日

損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟

債務整理における借金返済術


1 第1,第2事件原告の第1事件主位的請求及び第2事件主位的請求を
いずれも棄却する。
2 第1事件被告株式会社千趣会は,第1,第2事件原告に対し,第2事
件被告株式会社日動計画と連帯して34万5100円及びこれに対する平成18年3月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払
え。
3 第2事件被告株式会社日動計画は,第1,第2事件原告に対し,第2
事件被告Aと連帯して39万5900円及びこれに対する平成16年3
月10日から支払済みまで年5分の割合による金員(うち34万510
0円及びこれに対する平成18年3月17日から支払済みまで年5分の
割合による金員については第1事件被告株式会社千趣会と連帯して)を
支払え。
4 第2事件被告Aは,第1,第2事件原告に対し,第2事件被告株式会
社日動計画と連帯して39万5900円及びこれに対する平成16年3
月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 第1,第2事件原告のその余の第1事件予備的請求及びその余の第2
事件予備的請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,第1,第2事件原告に生じた費用の35分の12と第1
事件被告株式会社千趣会に生じた費用との合計の300分の299を第
1,第2事件原告の,300分の1を第1事件被告株式会社千趣会の各
負担とし,第1,第2事件原告に生じた費用の35分の23と第2事件
被告株式会社日動計画及び第2事件被告Aに生じた費用との合計の55
0分の549を第1,第2事件原告の,550分の1を第2事件被告株
式会社日動計画及び第2事件被告Aの各負担とする。
7 この判決は,第2ないし第4項及び第6項に限り,仮に執行すること
ができる。
事実及び理由
第1 請求
1 第1事件
第1事件被告株式会社千趣会(以下「被告千趣会」という。)は,第1,第2事件原告(以下「原告」という。)に対し,金1億2000万円及びこれに
対する平成18年3月17日(訴状送達の日)から支払済みまで年5分の割合
による金員を支払え。
2 第2事件
第2事件被告株式会社日動計画(以下「被告日動計画」という。)及び第2
事件被告A(以下,被告日動計画と被告Aとを併せて「被告日動計画ら」とい
い,被告日動計画らと被告千趣会とを併せて「被告ら」という。)は,原告に
対し,連帯して,金2億2758万4020円及びこれに対する平成16年3
月10日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を
支払え。
第2 事案の概要等
第1事件は,原告が,主位的に,被告千趣会が販売する被告日動計画の製造
に係るチーズケーキに付していた標章,あるいは,被告千趣会のカタログ等の
広告に使用していた標章等が,原告が独占的通常使用権を有する別紙商標権目
録記載の商標(以下,「本件商標」といい,この商標に係る商標権を「本件商
標権」という。)を侵害するものであり,さらに,被告日動計画が上記標章を
本件商標と類似しない標章に変更した際の広告方法等に照らし,被告千趣会が
被告日動計画と共同して行った上記変更後の販売又は広告行為は,本件商標に
生じたグッドウィルを不正に利用する行為であって,原告の上記独占的通常使
用権を侵害するものであるなどと主張して,被告千趣会に対し,前者について
上記独占的通常使用権に基づき,後者について民法719条及び709条に基
づき,それぞれ損害の賠償を求め,原告に上記独占的通常使用権が認められな
い場合に備え予備的に,被告千趣会の上記各行為は,本件商標権を有するBに
対する商標権侵害行為及び不法行為に当たるものであり,原告は,Bから被告
千趣会に対する各損害賠償請求権の譲渡を受けたなどと主張して,上記譲受債
権に基づき,その支払を求める事案である。
第2事件は,原告が,主位的に,被告日動計画が製造,販売するチーズケー
キに付していた標章,あるいは,上記チーズケーキについて被告千趣会のカタ
ログ等の広告に使用していた標章等が,原告が独占的通常使用権を有する本件
商標を侵害するものであり,さらに,被告日動計画が上記標章を本件商標と類
似しない標章に変更した際の広告方法等に照らし,被告日動計画が被告千趣会
と共同して行った上記変更後の販売又は広告行為は,本件商標に生じたグッド
ウィルを不正に利用する行為であって,原告の上記独占的通常使用権を侵害す
るものであるなどと主張して,被告日動計画に対し,前者について上記独占的
通常使用権に基づき,後者について民法719条及び709条に基づき,また,
被告日動計画の代表取締役であった被告Aに対し,民法719条及び709条,
あるいは,平成17年法律第87号による改正前の商法(以下「旧商法」とい
う。)266条の3に基づき,損害賠償の連帯支払を求め,原告に上記独占的
通常使用権が認められない場合に備え予備的に,被告日動計画らの上記各行為
は,本件商標権を有するBに対する商標権侵害行為及び不法行為に当たるもの
であり,原告は,Bから被告日動計画らに対する各損害賠償請求権の譲渡を受
けたなどと主張して,上記譲受債権に基づき,その支払を求める事案である。
なお,第1事件における附帯請求は,不法行為の後の日である訴状送達の日
から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求であり,
第2事件における附帯請求は,不法行為の後の日である訴状送達の日の翌日か
ら支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求である。  


Posted by のんのん at 19:06Comments(0)

2010年05月24日

強盗殺人

借金を完済するための心得


(犯行に至る経緯)
1 被告人は,昭和48年2月長野市で出生し,昭和63年3月に中学校を卒業し,長野県松本市内の寿司
店に就職して,約5年間稼働したが,同店を退職した後は,土木作業員,飲食店従業員等の仕事に就
いていた。
2 本件犯行の被害者A(以下「被害者」ともいう。)は,昭和60年ころ,当時松本市で貸金業をしていた妹
夫婦を頼って松本市に来て,飲食店で稼働するようになったが,昭和63年ころからは,後記の本件被
害場所であるビルの一室を自宅兼貸金業事務所として貸金業を営むようになった。
3 被告人は,中学校卒業後に就職した寿司店で被害者がアルバイトをしていたことから,被害者と知り
合い,被害者が同店でのアルバイトの他に貸金業もしていることを知った。被害者はその後同店での
アルバイトを辞めたが,被告人は,平成5年ころ,被害者から合計18万円くらいを借り受け,この借金
は母親から援助を受けて1年くらいで返済したが,その後,遊興のために消費者金融業者から金を借
りたり,クレジットで高額の物品を購入するなどして多額の債務を負担するようになり,平成12年8月,
約1350万円もの多額の債務を抱え,長野地方裁判所松本支部で破産宣告を受けた。
4 被告人は,平成14年春ころ,松本市内のキャバレーでホステスをしていたBと知り合い,同年10月こ
ろから,B,その連れ子の女児と一緒に被告人の実家で生活するようになった。
しかし,被告人の母親とBの折り合いが悪くなったことから,被告人は,同年11月末ころ,Bらととも
に実家を出て,同県塩尻市内のアパートを借りようとしたが,そのためには敷金等の入居費用が必要
であるところ,破産宣告を受けていたために一般消費者金融業者から金銭を借り入れることはできず,
知り合いから借り入れることもできなかった。そこで,被告人は,かつて一緒に働いたことがあり,金を
借りたこともある被害者から金を借りようと思い,同年12月2日ころ,被害者方を訪ね,同人から利息
天引きの上で50万円を借り入れ,これで敷金等を支払って,アパートに入居した。
被告人は,その後,水道設備工事作業員,宅配業者アルバイトなどとして稼働し,Bも短期間稼働し
たが,パチンコや外食等に相当額を費やすなど浪費を続け,被害者から更に合計約21万円を借り入
れ,別の金融業者からも借入れをした。
被告人は,平成15年6月から,同月7日に開店した塩尻市内のディスコ店の警備員の仕事を始め
たが,給料は翌月支給であった上,同店は開店間もない時期から客が入らず,給料が支給されそうも
ない状態であった。被告人は,借金の返済に追われ,アパートの家賃や生活費等の支払も滞納しがち
となり,日々の生活費にも困窮するようになったが,母親と喧嘩の末に実家を飛び出したという経緯か
ら,今更実家を頼ることもできないと思い,何とかしてまとまった金を手に入れて,Bとの生活を立て直
したいと考えるようになった。
5 そうした中,被告人は,上記ディスコ店で働いていたブラジル人から,窃盗等の犯罪によって金品を得
たという話を聞き,自分も何らかの犯罪を犯してでもまとまった金を手に入れられないかと考え始めた。
そして,被告人は,貸金業を営む被害者であれば自室に多額の現金を保管しているものと推測し,同
人方から金を取ろうと思ったが,留守宅に侵入することは困難なので,被害者にドアを開けさせて入る
しかないが,被害者は,ドアチェーンをした状態で相手の顔を確認してからでないとドアを開けてくれな
いので,自分が直接被害者方に赴いてドアを開けさせて入るしかなく,被害者が被告人を知っている以
上,犯行の発覚を防ぐためにはその場で被害者を殺害するほかはないと考えるに至った。
そして,被告人は,自分の手で直接被害者を殺害するのは嫌だったことから,平成15年6月21日こ
ろ,上記ディスコ店で警備員をしていたCにこの計画を持ちかけ,奪った現金は半額ずつ分けるなどと
言って,同人を誘ったところ,同人はこれを承諾した。被告人は,以後数回にわたってCと具体的な犯
行方法について相談し,同年7月10日に計画を実行に移すこと,最初に被告人が被害者に顔を見せ
て,ドアを開けてもらい,被害者方に入ること,Cが被害者の背後から腕で首を絞めること,その後,確
実に殺害するためにロープで首を絞めて,被害者の口と鼻にガムテープを巻くこと,指紋を残さないた
めに手袋を用意すること,体毛を現場に残さないように長袖の服を着ることといったことを取り決め,同
年7月7日早朝に2人で被害者宅の下見も行った。
そして,被告人とCは,同月10日夜,Cの運転する車で被害者方に向かい,その途中でCが犯行に
用いるガムテープを購入し,被害者方付近に車を停めた。被告人とCは,車を降りて,被害者方に行
き,被告人が被害者方のドアブザーを押して,被害者にドアを開けさせた。そして,被告人は,室内に
入り,その後からCが室内に入った。
(罪となるべき事実)
被告人は,Cと共謀の上,A(当時59歳)を殺害して金員を強取しようと企て,平成15年7月10日午後
9時30分ころ,長野県松本市・・・所在のA方において,同人に対し,殺意をもって,Cがその背後から頸
部を腕で締め付け,さらに,被告人及びCの両名がその頸部に自動車配線コード様のものを巻き付けて
その両端を引っ張り締め付けるなどし,よって,そのころ,同所において,Aを絞頸により窒息死させて殺
害した上,同人所有の現金約41万6000円を強取したものである。
(証拠の標目)  
※省略
(法令の適用)
罰条        刑法60条,240条後段
刑種の選択     無期懲役刑選択
未決勾留日数の算入 刑法21条
訴訟費用の不負担  刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
1 本件は,被告人が,貸金業を営む知人を殺害して金員を強取することを企て,ブラジル国籍で現在母
国に帰国して逃亡中のCと共謀の上,被害者方に赴き,Cとともに被害者を殺害し,現金約41万6000円を強取したという強盗殺人の事案である。
2 本件の犯行に至る経緯は,既に説示したとおりであり,被告人は,一度破産宣告を受けたにもかかわ
らず,平成14年12月以降の女性やその連れ子との生活において,収入に見合った暮らしをすること
ができず,浪費を続けて生活に行き詰まったものであり,女性の側にもパチンコで浪費するなどの問題
があったことは窺われるが,被告人自身が生活態度を真剣に改めようとしなかったものであり,その経
緯に酌量の余地はない。そして,被告人は,貸金業を営む被害者であれば,多額の現金を所持してい
るものと推測し,前記のような考えを巡らせた結果,被害者を殺害して現金を強取しようと企て,また,
それによって被害者からの借金の返済も免れることができるとも考えて,Cを誘って本件犯行に及んだ
ものであるが,余りにも身勝手で自己中心的な発想というほかなく,その犯行動機に酌量の余地は全く
ない。
3 次に犯行態様を見ると,まず,本件は高度に計画的な犯行であり,被告人らは,あらかじめ殺害の具
体的な方法を綿密に相談し,絞頸に使うコード,被害者の口と鼻を塞ぐガムテープ,指紋を残さないた
めの手袋等を用意し,ほぼ計画したとおりに遂行したものである。
その具体的な方法をみても,被告人がまず被害者に顔を見せて,被害者にドアを開けさせると,被
告人に続いてCが被害者方に入り込み,巨漢のCが小柄な被害者の背後から腕でその頸部を締め付
け,そのまま前のめりに押し倒して,被害者をうつぶせにした状態でなお腕で頸部を絞め続け,その
際,被告人も被害者がばたつかせていた足を押さえ付けるなどし,被害者が動かなくなってからも,さ
らに,持参したコードを被害者の首に巻き付けて2人でその両端を引っ張って首を絞めたものであり,
死因からするとこの時点で被害者は絶命したとみられるが,被告人らは,なおも,被害者の頭部にその
場にあったビニール袋を被せ,その上からガムテープを幾重にも巻き付けて口と鼻を塞いだものであっ
て,こうした殺害の方法は,強固な殺意に基づく極めて執拗かつ残忍なものである。被告人は,アパー
トに入居するための金がないというときに,被害者に金を貸してもらったのであり,無論それが被害者
の生業であり,利息も高利であるとはいえ,被害者に世話になっていたのであって,そのような被害者
に対する仕打ちとしては余りにも非道なものというほかない。
なお,被害者の殺害に際しては,Cが重要な役割を果たしたものであるが,被告人は,犯行を計画
し,Cにこれを持ちかけた上,犯行当日も,何喰わぬ顔で被害者方を訪れて無警戒の被害者にドアを
開けさせ,Cとともにコードで被害者の首を絞めて殺害したものであり,本件の中心的な役割を果たし
たものといえる。
4 本件犯行の結果は,言うまでもなく,余りにも重大である。 
被害者は,本件当日,被告人を何ら疑うことなく自室に入れたところ,突然襲われ,頸部を絞められ
て,苦しみながら息絶えたものであり,その苦痛や恐怖は想像を絶するものがある。被害者は,本件
当時,人工透析のために通院しながらも,独力で貸金業を営み,一人暮らしではあったが,親族と親し
く交際し,離婚後しばらく途絶えていた実子との交流も復活して,穏やかに生活を送っていたものであっ
て,そうした中で理不尽にも突然にその人生を絶たれた無念の心情は察するに余りある。
被害者の親族らは深い悲しみに沈むとともに,激しい憤りを覚えており,被害者の長男は公判廷で
その心情を語り,妹夫婦らも捜査官に対してその心情を述べているが,いずれも被告人に対する極刑
を望むとしており,遺族の処罰感情は峻烈であって,それは十分理解できるところである。
さらに,本件強取に係る財産的被害も軽視できない。
以上のとおり,本件犯行による被害は重大であるところ,被害弁償や金銭的な慰謝の措置は講じら
れておらず,今後それが実現する見込みもない。
加えて,本件は,店舗や住宅の集まる市街地で敢行された凶悪犯罪であって,近隣住民など社会に
与えた衝撃も多大である。
5 以上によれば,被告人の刑事責任は誠に重大であるというほかない。
そうすると,被告人が捜査段階から一貫して事実を認め,犯行状況等を詳細に供述し,捜査及び公
判を通じて反省と謝罪の態度を示していること,被告人には道路交通法違反による罰金前科1件以外
の前科はなく,これまでの稼働先の関係者の評価も特に悪いものではなく,被告人に強い犯罪性向は
窺えないことなどの被告人に有利な事情を十分斟酌しても,これまで述べたような本件犯行に至る動
機・経緯,犯行態様の悪質さ,結果の重大性等に照らすと,被告人を無期懲役に処するのが相当であ
ると判断した。  


Posted by のんのん at 20:28Comments(0)

2010年05月19日

損害賠償請求

債務整理のスペシャリスト!


第1 請求(第1事件・第2事件)
1 主位的請求
 被告会社及び被告Aは,原告に対し,各自金6299万1750円及びこれ
に対する平成9年10月7日から同支払済みに至るまで年5分の割合による金員を
支払え。
2 予備的請求
 被告会社及び被告Aは,原告に対し,各自金5459万9240円及びこれ
に対する平成10年2月12日から同支払済みに至るまで年5分の割合による金員
を支払え。
第2 事案の概要
 本件は,原告が,株式取引の経験が全くない投資不適格者であるにもかかわ
らず,被告会社B支店の従業員であった被告Aから,株式会社さくら銀行(以下
「さくら銀行」という。)の株式(以下「さくら銀行株」という。)につき,必ず
値上がりする旨の断定的判断を示され,適切な助言,説明を何ら受けないままこれ
を購入するに至ったとして(主位的請求),また,その後の株式売却に当たって
も,も近い時期に必ず株価が上昇する旨の断定的判断を示され,その売却を断念さ
せられたとして(予備的請求),被告会社に対して債務不履行(民法415条)又
は不法行為(民法715条)に基づき,また,被告Aに対して民法709条に基づ
き売却損及び本訴追行のための弁護士費用につき損害賠償を請求した事案である。
1 争いのない事実
(1) 当事者
ア 原告は,平成9年10月7日,被告会社との間でさくら銀行株につき売
買委託取引を行った者である。
イ 被告会社は,有価証券の売買等の媒介,取次ぎ及び代理並びに有価証券
市場(外国有価証券市場を含む。)における有価証券の売買等の委託の媒介,取次
ぎ及び代理等を行うことを目的とする株式会社である(平成11年4月26日旧商
号「大和証券株式会社」から現商号に変更。)。
ウ 被告Aは,平成9年当時,被告会社B支店投資相談課次長の地位にあっ
た被告会社の従業員である。
(2) さくら銀行株に関する取引
 ア 原告は,平成9年10月7日,被告会社に対し,さくら銀行株の買付委
託をし(以下「本件買付委託」という。なお,買付委託時の状況,買付数量,買付
金額については,後記第3の1(1)ア(ウ)c,イ(イ)(ウ)。),同株合計26万株
(以下,一括して「本件株式」という。)を購入した。
 イ 原告は,平成10年8月25日及び26日,本件株式のうち16万株を,
同11年8月19日,残りの10万株を各売却した。
2 争点
(1) 主位的請求
 ア 本件買付委託時における断定的判断の提供の有無。
イ 本件買付委託時における説明義務違反の有無。
(2) 予備的請求
 ア 断定的判断の提供によって,原告は本件株式の売却を断念させられたか
否か。
 イ 本件株式の売却に関する説明義務違反の有無。
(3) 被告会社及び被告A(以下「被告ら」という。)の責任の有無。
(4) 損害の有無,額。
3 当事者の主張
(1)ア 争点(1)ア(本件買付委託時における断定的判断の提供の有無)につい

(原告の主張)
 被告Aは,本件買付委託に際し,原告が,本件株式のうち1万株を購入した後,原告に対し,「小幅揉み合いで上がります。急いだ方がいいです
。」と言って,確信があるかのように,必ず値上がりするので今のうちに
是非買うべきであるという断定的判断を述べて,株式取引の知識及び経験がない原
告をして,必ず値上がりするものと誤信させ,本件株式の残り25万株の一括大量
購入を勧誘した。
(被告らの主張)
 被告Aは,原告から本件買付委託を受けた際,予め原告に対して勧誘を
していないし,本件株式の株価について,「小幅高でもみ合っている」と現在の状
態を説明したにすぎず,今後の株価の騰落に関する断定的判断)
(平成10年法律第107号による改正前の証券取引法50条1項1号)
を提供していない。
 イ 争点(1)イ(本件買付委託時における説明義務違反の有無)について
(原告の主張)
 (ア) 原告と被告会社間には,株式取引に関する委託契約が締結されてお
り,被告会社は原告に対して善管注意義務を負うから(商法552条2項),被告
らは,原告に対し,専門的立場から適切な助言,説明,情報を与えるべき義務を負
っている。
 (イ) そして,原告は,初めて株式を購入する投資不適格者であるから,
被告らとしては株式投資の方法につき懇切丁寧に説明を行い,一括大量購入は元本
割れするおそれがあるので慎重に判断すべきである旨の注意を行うとともにこれを
中止させるべきであるのに,同措置を講じることを怠った。
(被告らの主張)
 本件買付委託は,株式の現物取引という,ごく一般的な証券取引であ
り,原告は株価が下がれば損失が発生することを認識していたこと,本件買付委託
は,原告の方から,対象銘柄(さくら銀行株),買付単価ないし買付時期の判断基
準(株価が600円を割ったら買いたい。),数量ないし買付金額(最終的には1
億5000万円)を指定して申し込まれたのであって,被告Aらが本件株式の購入
を勧めたのではないことなどの事実に照らせば,本件買付に当たって,原告が主張
するような説明義務を被告に認めるのは相当ではない。
(2)ア 争点(2)ア(断定的判断の提供によって,原告は本件株式の売却を断念
させられたか否か)について
(原告の主張)
  原告は,平成10年2月12日,被告Aに対し,本件株式全部について
「今もう売りたい」と言って売却してほしい旨申し出たにもかかわらず,同被告か
ら「社長に損をかけたら申し訳ないので売るのは待ちましょう。3月の決算期で株
価は上がる。3月の決算期がだめなら7月の参議院選挙もあるし,9月の中間決算
もあります。例年上がっているんだから。いけます。」などと,近い時期に必ず株
価の騰貴がある旨の断定的判断の提供を受けるとともに,売却依頼を断念するよう
強く勧誘され,本件株式の売却を断念させられた。
(被告らの主張)
 当時,原告は,本件株式につき,売却の準備をしたことはあるものの,
株価が原告の希望する600円台に達しなかったため,売却の注文をしなかったも
ので,被告Aは,そのような原告に対し,金融不安によって株価が大きく下落した
後だけに,今後も株価は値上がりや値下がりを繰り返す綱引き状態になるかも分か
らない旨述べたにすぎず,株価が高騰するとの意見は述べていない。
イ 争点(2)イ(本件株式の売却に関する説明義務違反の有無)について
(原告の主張)
  被告らは,原告に対し,株式取引に関する委託契約に基づき専門的立場
から適切な助言,説明を行う義務を負っているところ,原告から平成10年1月に
は豊岡市内で実施することを予定していた事業に資金が必要であることを聞いてい
たのであるから,同年2月12日の時点で,本件株式の株価の値下がりが続いてい
るのであれば,これによる原告の損失を最小限にくい止めるように早い段階で売却
するよう助言,説明すべきであったのに,これをしなかった。
(被告らの主張)
(ア) 被告Aは,原告から,豊岡市の土地を購入して新規出店する計画が
あることや,本件株式の購入に充てた資金がそのために準備した資金であるという
ことは聞いていたが,土地購入の交渉がなかなか進展せず,計画の実現はいつにな
るか分からない旨の説明も受けていたものであって,平成10年1月には同資金が必要であるとの話は聞いていない。
(イ) また,原告は,「損失を最小限にくい止めるように早い段階で売却
するよう助言,説明すべきであった」と主張するが,そのような助言は,「有価証
券の価値等又は有価証券の価値等の分析に基づく投資判断に関する助言」(有価証
券に係る投資顧問業の規制等に関する法律2条1項
 )に該当し,投資顧問業者の業務であって,有価証券の売買取引の委託
の媒介,取次ぎ又は代理を業務とする証券業者(平成10年法律第107号による
改正前の証券取引法2条8項3号)のなすべき業務ではない。
(3) 争点(3)(被告らの責任の有無)
 (原告の主張)
  被告Aによる上記(1)又は(2)による断定的判断の提供又は説明義務違反の
各行為は,原告に対する,本件株式の買付委託取引契約上の債務不履行又は不法行
為に該当する。
  よって,被告A及びその使用者である被告会社は,債務不履行責任又は不
法行為責任(被告会社においては使用者責任)を負う。
 (被告らの主張)
  原告の上記主張は否認ないし争う。
(4) 争点(4)(損害の有無,額)について
(原告の主張)
ア 主位的主張
(ア) 原告は,平成9年10月7日,本件株式のうち1万株を購入した
後,被告Aの断定的判断の提供又は説明義務違反により,本件株式の残り25万株
を1億4312万7874円で購入させられたものであるところ,原告が同10年
8月25日及び同月26日に上記25万株のうち16万株を売却して得た金額は4
417万9017円であり,同11年8月19日に同株式の残り9万株を1株49
0円で売却して得た金額は4383万7109円であって,合計金額は8801万
6124円となる。
(イ) したがって,原告は,上記25万株の購入額合計と売却額合計との
差額である5511万1750円及び本件訴訟追行のための弁護士費用788万円
の合計6299万1750円の損害を被った。
イ 予備的主張
(ア) 原告は,平成10年2月12日,被告Aの断定的判断の提供又は説
明義務違反により,本件株式の売却を断念させられたものであるところ,この時点
における本件株式の株価は,1株当たり540円であるから,本件株式を売却して
いた場合の損失は,購入額合計1億4887万2820円と上記売却額合計1億3
961万6070円との差額である925万6750円にとどまったものと考えら
れる。
(イ) したがって,原告は,株式を売却して得た金額合計である9289
万6830円(内訳,平成10年8月25日及び同月26日に本件株式のうち16
万株を売却した代金合計4417万9017円,同11年8月19日に同株式の残
り10万株を1株490円で売却した代金合計4871万7813円)と上記(ア)
の金額との差額である4671万9240円及び本件訴訟追行のための弁護士費用
788万円の合計5459万9240円の損害を被った。
(被告らの主張)
  原告の上記各主張はいずれも否認ないし争う。
第3 争点に対する判断
1(1) 争点(1)ア(本件買付委託時における断定的判断の提供の有無)について
ア 前記第2の1(2)の事実及び証拠(甲1,3の1及び2,4の1及び2,
7,10の1ないし5,11,12〈一部〉,13の1ないし3,14ないし1
7,18の1及び2,19の1及び2,20,21,乙1,2,5,7ないし9,
13,14,証人C,被告A,原告本人〈一部〉)によれば,本件買付委託前の事
情及び本件株式売却に至るまでの経緯として,次の各事実が認められ,これに反す
る証拠は同認定に沿う証拠に照らし信用できず,これを採用できない。
(ア)a 原告は,平成8年ころから,兵庫県豊岡市でカラオケルーム等の
事業を興すことを考え,資産を売却して,不動産購入資金として1億5000万円
を準備した。
b そして,原告は,購入予定の不動産を決定し,その所有者と売買交
渉をしていたが,同所有者は平成9年10月2日同不動産をほかへ売却し,同月8日所有権移転登記をしてしまった。  


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2010年05月13日

損害賠償請求事件

過払い金返還請求のすすめ


第一 請求
被告らは、名古屋港管理組合に対し、別紙請求金額一覧表請求金額欄記載の各金員
及びこれに対する同表起算日欄記載の日から支払済みに至るまで年五分の割合によ
る金員を支払え。
第二 事案の概要
愛知県及び名古屋市の特別地方公共団体で一部事務組合である名古屋港管理組合に
おいては、平成五年七月まで同組合議会議員の報酬に関する条例が存在しなかっ
た。他方、右議員に対する費用弁償は、毎年、その職位に応じ、一律定額に支給さ
れていた。
本件は、愛知県の住民である原告らが、平成三年四月七日から平成五年三月までの
間に右組合議会議員に対し支給された費用弁償は、費用弁償の性質に反し、かつ、
支給手続に反するものであるから不正な支給であったなどとして、地方自治法二四
二条の二第一項四号に基づき、右期間、同組合の管理者、議会事務局長、出納長又
は副出納長であった者に対し、不法行為に基づく損害賠償を、同組合の議会議長又
は議会副議長であった者に対し、不法行為に基づく損害賠償又は不法利得返還を請
求した住民訴訟である。
第三 争いのない事実等
一 当事者
1 原告らは、いずれも愛知県の住民である。
2 (一)名古屋港管理組合(以下「名港組合」という。)は、昭和二六年九月八
日に、名古屋港の開発発展と利用の促進を図り、管理運営を確立し、もって国際的
重要港湾となすことを目的に、愛知県及び名古屋市により設置された、地方自治法
(以下「法」という。)二八四条二項に規定されている特別地方公共団体たる一部
事務組合である。
(二) 名港組合の組織は、次のとおりである。
(1) 名港組合は、議決機関としての名古屋港管理組合議会(以下「議会」とい
う。)と、執行機関としての管理者及び監査委員からなっている。
(2) 議会
議会は、愛知県議会議員一五名及び名古屋市議会議員一五名の合計三〇名の議員
(以下「議員」という。)によって構成され、その任期は二年となっている。
(3) 執行機関
管理者は、愛知県知事又は名古屋市長をもって充て、二年ごとに交替する。
監査委員は、管理者が議会の同意を得て、愛知県及び名古屋市の監査委員のうちか
らそれぞれ一名、並びに議会の議員のうちから一名の合計三名によって構成され、
その任期は二年である。
管理者の補助機関として、副管理者及び出納長がおかれており、それらは、愛知県
知事及び名古屋市長の推薦する者につき、管理者が議会の同意を得て選任し、その
任期は四年である。
なお、各機関には事務部局又は事務局が置かれており、その詳細は、別紙名古屋港管理組合機構図のとおりである。
(三) 被告らは、平成三年四月一日から平成五年三月三一日までの間、次のとお
り、名港組合の役職に就いており、その職務を行っていた。
(1) 被告A
役  職 管理者
在職期間 平成元年九月八日から平成三年九月七日まで
(2) 被告F
役  職 管理者
在職期間 平成三年九月八日から平成五年九月七日まで
(3) 被告B
役  職 議会事務局長(以下「事務局長」という。

在職期間 平成元年九月八日から平成四年三月三一日まで
(4) 被告G
役  職 事務局長
在職期間 平成四年四月一日から平成六年三月三一日まで
(5) 被告H
役  職 出納長
在職期間 平成三年四月一日から平成六年七月六日まで
(6) 被告C
役  職 副出納長
在職期間 平成二年四月一日から平成四年三月三一日まで
(7) 被告I
役  職 副出納長
在職期間 平成四年四月一日から平成九年三月三一日まで
(8) 被告D
役  職 議会議長(以下「議長」という。)
在職期間 平成三年六月三日から平成四年五月一八日まで
(9) 被告J
役  職 議長
在職期間 平成四年六月三日から平成五年五月一四日まで
(10) 被告E
役  職 議会副議長(以下「副議長」という。)
在職期間 平成三年六月三日から平成四年五月二一日まで
(11) 被告K
役  職 副議長
在職期間 平成四年六月三日から平成五年五月一五日まで
二 1 名港組合においては、法二九二条、二〇三条三項、五項の規定を受けて、
「議員の費用弁償に関する条例」(昭和三二年一一月一日条例第一一号。以下「旧
条例」という。)を制定しており、その第一条、二条は次のように規定している。
第一条 名古屋港管理組合議会の議員が招集に応じ、若しくは委員会等に出席した
とき、又は公務のため旅行したときは、その旅行について費用弁償として旅費を支
給する。
第二条 前条の規定により支給する旅費の額は、旅費条例(昭和二七年名古屋港管
理組合条例第六号)の規定による特別職員に支給する額により同条例を準用して支
給する。
2 県内の旅行については、前項の規定にかかわらず、別に定める額を日額で支給
することができる。
2 名港組合では、平成三年四月一日以降、旧条例二条二項により、議員の県内旅
行の旅費を日額金一万五〇〇〇円としていた。
3 なお、旧条例は、平成五年七月一二日、
報酬規定を盛り込んだ「名古屋港管理組合議会の議員等の報酬及び費用弁償に関す
る条例」(平成五年名古屋港管理組合条例第四号。以下「新条例」という。)が公
布・施行された(ただし報酬に関する一条ないし三条は、同年六月一日から適用)
ことに伴い、廃止された。
三 名港組合においては、長年にわたり、議員に対し、年間に費用弁償として、あ
らかじめ次のとおり定められた日数分の日額旅費を一律定額支給してきた。  


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2010年05月11日

根抵当権設定登記抹消登記手続

過払い金を取り戻す方法とは


 譲渡担保権者は、担保権を実行して確定的に抵当不動産の所有権を取得しない限
り、民法三七八条所定の滌除権者たる第三取得者には該当せず、抵当権を滌除する
ことができないものと解するのが相当である。けだし、滌除は、抵当不動産を適宜
に評価した金額を抵当権者に弁済することにより抵当権の消滅を要求する権限を抵
当不動産の第三取得者に対して与え、抵当権者の把握する価値権と第三取得者の有
する用益権との調整を図ることなどを目的とする制度であるが、抵当権者にとって
は、抵当権実行時期の選択権を奪われ、増価による買受け及び保証の提供などの負
担を伴うものであるところから、民法三七八条が滌除権者の範囲を「抵当不動産ニ
付キ所有権、地上権又ハ永小作権ヲ取得シタル第三者」に限定していることにかん
がみれば、右規定にいう滌除権者としての「所有権ヲ取得シタル第三者」とは、確
定的に抵当不動産の所有権を取得した第三取得者に限られるものと解すべきである。
そして、不動産について譲渡担保が設定された場合には、債権担保の目的を達する
のに必要な範囲内においてのみ目的不動産の所有権移転の効力が生じるにすぎず、
譲渡担保権者が目的不動産を確定的に自己の所有とするには、自己の債権額と目的
不動産の価額との清算手続をすることを要し、他方、譲渡担保設定者は、譲渡担保
権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的不動産を受け戻
し、その完全な所有権を回復することができるのであるから(最高裁昭和五五年(
オ)第一五三号同五七年一月二二日第二小法廷判決・民集三六巻一号九二頁、最高
裁昭和五六年(オ)第一二〇九号同五七年九月二八日第三小法廷判決・裁判集民事一三七号二五五頁、最高裁平成元年(オ)第一三五一号同五年二月二六日第二小法
廷判決・民集四七巻二号一六五三頁)、このような譲渡担保の趣旨及び効力にかん
がみると、担保権を実行して右の清算手続を完了するに至らない譲渡担保権者は、
いまだ確定的に目的不動産の所有権を取得した者ではなく、民法三七八条所定の滌
除権者たる第三取得者ということができないからである。
 これを本件についてみるに、原審が適法に確定した事実は、次のとおりである。
(1) 上告人は、平成元年七月六日、Dに対し、弁済期を同年一〇月五日として、
少なくとも一〇〇〇万円を貸し付け(以下、右貸付けによるDの債務を「本件貸金
債務」という。)、右両者間で、同年八月三〇日に弁済期を同年一二月三一日と変
更する合意をした。(2) Eは、平成元年七月六日、Dの本件貸金債務を連帯保証
するとともに、右債務の担保とする趣旨で、上告人との間で、Eの所有に係る第一
審判決添付物件目録記載の土地及び建物(以下「本件不動産」という。)について
譲渡担保契約を締結した。そして、上告人は、右契約に基づき、平成元年七月七日、
本件不動産について、上告人への所有権移転登記を経由した。(3) 被上告人は、
本件不動産につき、昭和六三年六月三〇日、極度額を五〇〇〇万円とする根抵当権
(以下「本件根抵当権」という。)の設定登記を経由していた。(4) 上告人は、
平成元年九月一四日に被上告人から本件根抵当権実行の通知を受けたので、同年一
〇月四日、被上告人に対して本件根抵当権を三二〇〇万円で滌除する旨の通知をし
たが(以下、上告人のした右滌除権の行使を「本件滌除権の行使」という。)、右
の時点においては、本件貸金債務の弁済期が未到来であったため、譲渡担保権の実
行に着手していなかった。(5) 上告人は、被上告人が右の通知を受けてから一箇
月内に増価競売の請求をしなかったため、平成元年一一月一六日に滌除金額の三二
〇〇万円を供託した。(6) 上告人は、平成三年六月七日に至り、Eに対し、本件
不動産の所有権を確定的に上告人に帰属せしめる旨及びEに対して支払うべき清算金はない旨を通知して、譲渡担保権を実行し、これにより本件不動産の所有権を確
定的に取得した。
 右の事実関係からすると、上告人は、本件滌除権の行使をした時点においては、
いまだ確定的に本件不動産の所有権を取得していなかったことが明らかである。そ
うすると、上告人は、右の時点においては、本件根抵当権を滌除することのできる
民法三七八条所定の第三取得者ではなかったから、上告人のした本件滌除権の行使
はその効力を生じないものというべきである。したがって、右と同旨の見解に立ち、
本件滌除権の行使が有効であることを前提として本件根抵当権設定登記の抹消登記
手続を求める上告人の本訴請求を棄却すべきものとした原審の判断は、正当として
是認することができ、原判決に所論の違法はない。所論引用の各判例は、事案を異
にし本件に適切でない。論旨は採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり判決する。  


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2010年05月06日

執行判決本訴、請求異議反訴請求事件

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 第一 当事者の求める裁判
 一 控訴人
 1 原判決を取り消す。
 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。
 3 (予備的反訴として)控訴人・被控訴人間のアメリカ合衆国テキサス州ベク
サー郡第二八八司法区地方裁判所第八三―CI―一四〇六一号事件につき、同裁判
所が平成元年一一月一三日に言い渡した判決に基づいて強制執行をすることは許さ
ない。
 4 訴訟費用は第一・二審とも被控訴人の負担とする。
 二 被控訴人
 本件控訴を棄却する。
 第二 当事者の主張
 一 本訴関係
 1 請求原因
 (一) 当事者
 控訴人は日本の国籍を、被控訴人はアメリカ合衆国の国籍をそれぞれ有する者で
ある。
 (二) 外国判決の存在
 (1) 控訴人と被控訴人とは、一九八二年七月三日、アメリカ合衆国テキサス
州の法令に従い婚姻して同州に居住し、同年九月一六日、長女a1をもうけたが、
一九八四年五月一一日にされた同州ベクサー郡第二八八司法区地方裁判所(以下
「本件外国裁判所」という。)の離婚判決(一)Decree of Divor
ce以下「本件離婚判決」という。)によって離婚した。
 (2) 本件外国裁判所は、本件離婚判決において、控訴人をa1の単独支配保
護者(ソール・マネージング・コンサーバターSole Managing Co
nservator)すなわち保護親(カストディアル・ペアレソトCustod
ialparent)、被控訴人を本件離婚判決において定める夏休み等の一定期
間中だけa1をその保護下に置くことができる一時占有保護者(ポゼッソリー・コ
ンサーバターPossessory Conservator)と定め、かつ、本
件外国裁判所の許可なくして州外へ子を移動させることを禁じた。
 (3) 控訴人は、その後、本件外国裁判所の制限付きの許可を得て、一九八九
年五月、a1を連れてテキサス州から日本に転居した。
 (4) 本件外国裁判所は、被控訴人から控訴人に対するa1の親子関係に関す
る訴え(右(2)の単独支配保護者等に関する決定及び右(3)の転居許可決定の
修正変更等を求めることを内容とするもの。以下「本件外国判決事件」という。)
に基づき、陪審裁判による事実審理を遂げた上で、同年一一月一三日、a1の単独
支配保護者を控訴人から被控訴人に、一時占有保護者を被控訴人から控訴人にそれ
ぞれ変更するとともに、控訴人に対し、特定の期間を除いて、a1を被控訴人に引
き渡すこと、及び養育費を支払うことなどを命ずる判決(以下「本件外国判決」と
いう。)を言い渡した。
 (5) 本件外国判決は、同日、同裁判所判決綴第八二九A巻六二二頁ないし六
三四頁に登録され、控訴人が法定の期間内に上訴しなかったため確定した。
 (三) 民事執行法二四条及び民事訴訟法二〇〇条の要件該当性
 (1) 本件外国判決は、民事執行法二四条にいう外国裁判所の「判決」、民事
訴訟法二〇〇条にいう外国裁判所の「確定判決」に当たる。
 外国裁判所の裁判が民事執行法二四条、民事訴訟法二〇〇条にいう「判決」に当
たるか否かは、ある国で認められた権利の他の国における実現を保障し、また、私
的法律関係の国際的安定を確保しようとする外国判決承認制度の趣旨からみて、実
体私法上の法律関係につき、当事者双方の審問を保障する手続により、裁判所が終
局的にした裁判であることをもって足りると解すべきである。
 本件外国判決は、ファイナル・ジャッジメントと称する裁判であり、本件外国裁
判所が当事者である控訴人・被控訴人間の子の監護をめぐる民事上の争訟につい
て、当事者双方の申立及び主張に基づき、証拠開示手続を終えた上で、陪審による事実審理を経て、その評決に基づいて宣告された終局的民事裁判であることは明ら
かである。したがって、本件外国判決は、前記の外国裁判所の「判決」に当たる。
 本件外国判決が言渡後の事情の変化によって変更可能であることは、後の裁判に
よって形成的に裁判の内容が変更される可能性があるというにすぎず、言渡時にお
ける最終判断であるという本件外国判決の性質をいささかも変えるものではない。
 (2) 本件外国判決は、民事訴訟法二〇〇条一号所定の要件を具備している。
 わが国の国際民事訴訟法理論によれば、未成年の子の親権者の指定・変更、監護
者の指定・変更等については、子の現実の居住国の裁判管轄権を認めるべきである
としても、民事訴訟法二九条によれば、管轄決定の標準時は起訴時とされているの
で、国際裁判管轄権についても、同条の類推により、外国訴訟の起訴の時点での判
決国の一般管轄権が肯定されるかどうかの判断によるべきである。
 本件外国判決事件につき、被控訴人が本件外国裁判所に提訴した時点において
は、a1はアメリカ合衆国テキサス州に居住していたのであるから、本件外国裁判
所が本件外国裁判事件につき管轄権を有していたことは明らかである。
 (3) 本件外国判決は、民事訴訟法二〇〇条二号所定の要件を具備している。
 本件外国判決事件の審理には、控訴人代理人弁護士ラワン・ホーランド及び同キ
ャロル・ホーランドが出頭しているので、同号の要件を満たしている。
 (4) 本件外国判決は、民事訴訟法二〇〇条三号所定の要件を具備している。
 「1」 外国判決の内容が公序良俗に違反するか否かは、判決の主文のみについ
て判断すべきか、判決理由をも判断の対象とすべきかについては争いがあるが、後
者の立場も、判決主文の導かれるに至った基礎認定事実をも考慮すべきであるとす
るに止まり、判決理由で認定されていない事実をも斟酌し得るとするものではな
い。控訴人の主張する事実は、いずれも本件外国判決の認定していない事実である
か、本件外国判決宣告後の事情であって、本件外国判決が公序良俗に違反するか否
かの判断に当たっては斟酌することのできないものである。
 「2」 仮に、民事訴訟法二〇〇条三号の「公ノ秩序」に手続的公序が含まれる
との立場に立ったとしても、手続的公序に違反するとされるのは、文明国に共通す
る民事訴訟の基本原則に反する不公正な事由があった場合であり、もとより各国の
訴訟手続はその司法制度との関連により異なるので、判決国の訴訟手続がわが国の
訴訟手続と異なっていること自体は問題とすべきではない。家事審判規則五条は、
本人の原則的出頭義務を規定したに止まり、裁判所が本人の陳述を聞かないで裁判
をすることができないとの趣旨を含むものではない。そして、本人の陳述を聞かな
いでした裁判が同条に違反するが故に瑕疵ある裁判になるわけでもない。いずれに
せよ、本人の原則的出頭義務の規定が文明国に共通する民事訴訟の基本原則を示す
ものでないことは明らかであり、本件外国判決が下されるに当たって、控訴人の代
理人弁護士が出頭したに止まり、控訴人本人及びa1が一度も出頭しなかったとし
ても、かかる事実は、文明国に共通する民事訴訟の基本原則に反する不公正な事由
に当たるということはできない。
 「3」 控訴人は、テキサス州における裁判中に、保証金を積んで一時的に同州
の外に出る許可を得たものの、判決当日に本件外国裁判所に出頭しなかったので、
控訴人が積んだ保証金は没収されるとともに、控訴人に対して右裁判所から出頭命
令違反により人身保護令状が発行されているのである。控訴人は、右裁判所の判決
の執行を免れるために日本に逃亡してきたのであり、逃亡後の事情をもって、公序
良俗違反を云々するものであって許されない。
 (5) 本件外国判決は、民事訴訟法二〇〇条四号所定の要件を具備している。
 「1」 テキサス州の民事訴訟手続及び救済方法に関する法律(以下「民事訴訟
手続法という。)三六・〇〇四条は、金銭の支払に関する外国判決の執行につい
て、不承認事由に該当しない限り執行可能であるとし、三六・〇〇五条の定める不
承認事由は、重要な点で民事訴訟法二〇〇条各号所定の条件と異ならない。また、
同州家族法一一章B節統一未成年子監護権裁判法は、一一・六三条において、アメ
リカ合衆国の他州の監護権判決(Out―of―state Costody D
ecrees)のテキサス州における執行力を極めて緩やかな条件で広く認め、か
つ、一一・七三条において、これを一般的に合衆国外の国際的領域に適用してい
る。したがって、本件外国判決と同種類の判決につき、わが国とテキサス州との間
に相互の保証があるというべきである。
 「2」 同法一四・三一条は、執行に関する手続規定であり、外国判決の内容を
再審査するものではないので、相互保証の要件があることを認める妨げとはならな
い。
 2 請求原因に対する控訴人の答弁及び主張
 (一) 請求原因(一)の事実及び同(二)のうち(1)ないし(4)の事実を
認め、同(5)のうち、登録及び確定の事実は不知。
 (二) 同(三)について
 (1) 本件外国判決は、民事執行法二四条にいう外国裁判所の「判決」及び民
事訴訟法二〇〇条にいう外国裁判所の「確定判決」に当たらない。
 テキサス州家族法一四・〇八条(c)は、次のように規定しており、単独支配保
護者の決定が変更可能なものであること、及び変更の要件が通常の確定判決に対す
る再審の要件とは大きく異なることが明らかである。
 「裁判所は、審問(hearing)の後、以下のような要件のもとに、命令
(order)又は判決の一部(apretioh of decree)を修正
することができる。
 単独支配保護者を指定したものについては、
 (A) 当該子、単独支配保護者、一時占有保護者、又は当該判決若しくは決定
に利害関係を有するその他の者の事情が、修正さるべき当該判決若しくは決定が下
された日以降、大きくかつ実質的に変化し、かつ、
 (B) 現在の単独支配保護者を維持することが当該子にとって有害であり、か
つ、
 (C) 新たな単独保護者を指定することが当該子にとって積極的な改善をもた
らす場合」
 このような裁判は、外国での執行判決をすることを認めても法律関係をいたずら
に混乱させるのみであるから、民事訴訟法二〇〇条にいう「確定判決」には該当し
ないと解すべきである。
 (2) 本件外国判決は、民事訴訟法二〇〇条一号所定の要件を具備していな
い。
 わが国の国際民事訴訟法理論においては、親権者の指定・変更ないし子の監護処
分については、子の住所地に管轄権を認めるものとされているところ、子であるa
1は、一九八九年四月一二日に下された判決による許可に基づき、同年五月一七日
に来日し、住居を日本に移していたのであるから、本件外国判決事件の提起された
同年九月六日にはアメリカ合衆国に住所を有していなかったので、本件外国裁判所
は、わが国の国際民事訴訟法の下では管轄権を有しなかったというべきである。
 なお、子の福祉を実現するという観点から裁判所が後見的に判断を下す子の監護
処分については、裁判管轄権の所在を当事者の意思に委ねて合意管轄ないし応訴管
轄を認めることはできないというべきである。
 (3) 本件外国判決事件の審理に被控訴人の主張する者が出頭したことを認め
る。
 (4) 本件外国判決は、民事訴訟法二〇〇条三号所定の要件を具備していな
い。
 「1」 本件外国判決のように、陪審の下した結論のみを記載した判決について
は、手続中に現れた資料から公序良俗違反性を認定し得るし、また、本件のように
子の引渡請求に関しては、現に当該子の居住しているわが国としては、その子の福
祉に対して関心と責任を持つことを要求されるので、外国判決の承認・執行の是非
を判断する際には、判決後の事情を含めて子の福祉に係わる一切の事情を考慮すべ
きものと解するのが相当である。
 「2」 本件においては、次に述べるような事情があるので、本件外国判決を承
認・執行することは、わが国の公序良俗に違反する。
 a 本件外国判決がa1の単独支配保護者を被控訴人に変更したのは、アメリカ
人と日本人との間の子として生まれたa1が、日本において混血児として差別を受
けるであろうという日本社会に対するいわれなき偏見に基づく証言に陪審が影響を
受けたことによるものであり、不当な考慮に基づくものである。
 b 本件外国判決が下されるに当たって、本件外国裁判所の法廷に控訴人の代理
人弁護士が出頭したに止まり、控訴人本人及びa1は一度も出頭していない。日本
においては、家事審判規則五条が本人出頭主義を採用しているところ、これは家事
事件においては事件の実相を把握することが特に重要であるとの考慮に基づくもの
であり、本人出頭主義は手続上の公序を構成するものと解される。したがって、本
件外国判決はかかる手続上の公序に違反してされたものである。
 c 被控訴人は、「偏執症」の性格を有する者であって、大学からドロップアウ
トしたり、職を転々としたりしており、社会生活を送る上で問題が多いと評価されている。現に被控訴人は、両親と絶縁状態にある上、控訴人との離婚後に再婚した
女性とも離婚し、その間にもうけた子の監護をめぐる訴訟に関して同女を脅迫する
などの行為に出ている。被控訴人は、離婚判決後、a1が被控訴人方を訪れた際、
ポルノ雑誌をa1の目に触れるような場所に散乱させておくなど、その成育に有害
な行動をしていた。これらの事実に、a1は、来日後既に三年を経過し、日本社会
に完全に順応して安定した生活を営んでいる反面、英語をほとんど解し得なくなっ
ているため、アメリカ合衆国に連れ戻された場合にはかえって順応が困難となるこ
となどを併せ考えると、本件外国判決を承認・執行することは、a1に明白な害を
もたらすものである。
 d 被控訴人は、最近勤務先から解雇され、定期的な収入を期待できない状態と
なった。そのため、被控訴人は、後妻との間の子に対する扶養料の減額を裁判所に
申し立てており、その弁護士費用も支払えない状態である。
 e 被控訴人は、a1が日本に移住した後、弁護士を介して政治家に金銭を渡
し、その政治的圧力ないしコネクションを利用してa1をアメリカ合衆国に連れ戻
そうと企て、素性の知れない人物を雇って控訴人宅の周辺で聞き込みをさせたり、
また、一九九三年四月三〇日には、被控訴人自らが来日して、突然控訴人の留守宅
を訪れ、更にはa1の通っている小学校にまで赴いて、嫌がるa1に面会を強いる
など、不当な手段によりa1との接触を図っている。  


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2010年05月01日

加茂市処分差止,取消請求事件

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○ 主文
一 被告加茂市に対する本件訴えをいずれも却下する。
二 被告加茂市長に対する本件訴えのうち、「被告加茂市長が、平成四年三月二四
日、学校法人加茂暁星学園との間で締結した別紙物件目録記載一の(一)ないし
(八)の土地についての無償譲渡契約及び同年六月三〇日、同学園との間で締結し
た別紙物件目録記載二の(一)及び(二)の土地についての無償譲渡契約をいずれ
も取り消す。」との訴え、「被告加茂市長は、学校法人加茂暁星学園との間で、同
学園の四年制大学建設事業に関し、被告加茂市が同学園に建設事業費寄付金を交付
する旨の寄付金契約を締結してはならない。」との訴えのうち既に締結された平成
四年度分九七九〇万円の寄付金契約の締結の差止めを求める部分、及び「被告加茂
市長が、平成四年七月三〇日、学校法人加茂暁星学園の四年制大学建設事業に関し
て、被告加茂市収入役に対して行った建設事業費寄付金五八〇〇万円についての支
出命令を取り消す。」との訴えをいずれも却下し、その余の請求をいずれも棄却す
る。
三 被告加茂市収入役に対する本件訴えのうち、「被告加茂市収入役が平成四年七
月三〇日、学校法人加茂暁星学園の四年制大学建設事業に関して行った建設事業費
寄付金五八〇〇万円についての支出行為を取り消す。」との訴えを却下し、その余
の請求を棄却する。
四 訴訟費用は原告の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告加茂市に対し、
(一) 加茂市議会が平成三年度加茂市一般会計補正予算第三号(第六七号議案)
について、平成三年一一月二五日に可決した議決を取り消す。
(二) 加茂市議会が平成三年度加茂市一般会計補正予算第四号(第六九号議案)
について、平成三年一二月二一日に可決した議決を取り消す。
(三) 加茂市議会が平成四年度加茂市一般会計予算(第二号議案)について、平
成四年三月二四日に可決した議決を取り消す。
(四) 加茂市議会が平成三年度加茂市一般会計補正予算第七号(第二五号議案)
について、平成四年三月二四日に可決した議決を取り消す。
(五) 加茂市議会が第三〇号議案について、平成四年三月二四日に可決した議決
を取り消す。
(六) 加茂市議会が平成四年度一般会計補正予算第一号(第四二号議案)につい
て、平成四年六月三〇日に可決した議決を取り消す。
(七) 加茂市議会が第四五号議案について、平成四年六月三〇日に可決した議決
を取り消す。
2 被告加茂市長に対し、
(一) 被告加茂市長が、平成四年三月二四日、学校法人加茂暁星学園との間で締
結した別紙物件目録記載一の(一)ないし(八)の土地についての無償譲渡契約及
び同年六月三〇日、同学園との間で締結した別紙物件目録記載二の(一)及び
(二)の土地についての無償譲渡契約をいずれも取り消す。
(二) 被告加茂市長は、学校法人加茂暁星学園との間で、同学園の四年制大学建
設事業に関し、被告加茂市が同学園に建設事業費寄付金を交付する旨の寄付金契約
を締結してはならない。
(三) 被告加茂市長が、平成四年七月三〇日、学校法人加茂暁星学園の四年制大
学建設事業に関して、被告加茂市収入役に対して行った建設事業費寄付金五八〇〇
万円についての支出命令を取り消す。
(四) 被告加茂市長は、本件口頭弁論終結時以降、学校法人加茂暁星学園の四年
制大学建設事業に関して、被告加茂市収入役に対し建設事業費寄付金についての支
出命令をしてはならない。
3 被告加茂市収入役に対し、
(一) 被告加茂市収入役が平成四年七月三〇日、学校法人加茂暁星学園の四年制
大学建設事業に関して行った建設事業費寄付金五八〇〇万円についての支出行為を
取り消す。
(二) 被告加茂市収入役は、本件口頭弁論終結時以降、学校法人加茂暁星学園の
四年制大学建設事業に関して、建設事業費寄付金についての支出行為をしてはなら
ない。
4 訴訟費用は被告らの負担とする。
二 請求の趣旨に対する被告らの答弁
1 被告加茂市
主文一、四と同旨
2 被告加茂市長
(一) 請求の趣旨2(一)ないし(三)をいずれも却下する。
(二) 同2(四)を棄却する。
(三) 訴訟費用は原告の負担とする。
3 被告加茂市収入役
主文三、四と同旨
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、被告加茂市の住民である。
2 加茂市議会の議決
(一) 加茂市議会は、平成三年一一月二五日、被告加茂市の平成三年度一般会計
予算の歳出予算に、別紙物件目録記載一の(一)ないし(八)の土地(以下「本件
一の土地」という。)の取得費として一億一七四〇万九〇〇〇円を計上することを
内容とする平成三年度一般会計補正予算第三号(第六七号議案)を可決した。
(二) 加茂市議会は、平成三年一二月二一日、被告加茂市の平成三年度一般会計
予算の債務負担行為に、学校法人加茂暁星学園(以下「暁星学園」という。)が建
設する四年制大学(新潟経営大学、以下「新潟経営大学」という。)の建設事業費
寄付金として八億八三五七万一〇〇〇円を計上することを内容とする平成三年度一
般会計補正予算第四号(第六九号議案)を可決した。
(三) 加茂市議会は、平成四年三月二四日、被告加茂市の平成四年度一般会計予
算の歳出予算に、新潟経営情報大学(仮称)建設事業寄付金等として九八六六万二
〇〇〇円を計上することを内容とする平成四年度一般会計予算(第二号議案)を可
決した。
(四) 加茂市議会は、平成四年三月二四日、被告加茂市の平成三年度一般会計予
算中に債務負担行為として予算計上した新潟経営大学建設事業費寄付金を一〇億八
三五七万一〇〇〇円に増額補正することを内容とする平成三年度一般会計補正予算
第七号(第二五号議案)を可決した。
(五) 加茂市議会は、同日、被告加茂市が暁星学園に対し本件一の土地を無償で
譲渡することを内容とする第三〇号議案を可決した。
(六) 加茂市議会は、平成四年六月三〇日、被告加茂市の平成四年度一般会計予
算の債務負担行為に、新潟経営大学建設事業費寄付金として九八二九万円を計上す
ることを内容とする平成四年度一般会計補正予算第一号(第四二号議案)を可決し
た。
(七) 加茂市議会は、同日、被告加茂市が暁星学園に対し別紙物件目録記載二の
(一)及び(二)の土地(以下「本件二の土地」という。)を無償で譲渡すること
を内容とする第四五号議案を可決した(以下、前記(一)ないし(七)の加茂市議
会の議決を「本件各議決」という。)。
3 被告加茂市長の土地無償譲渡契約締結
(一) 被告加茂市長は、平成四年三月二四日、暁星学園との間で本件一の土地を
被告加茂市が無償で譲渡する旨の契約を締結した一以下「本件無償譲渡契約一」と
いう。)。
(二) 被告加茂市長は、平成四年六月三〇日、暁星学園との間で本件二の土地を
被告加茂市が無償で譲渡する旨の契約を締結した(以下「本件無償譲渡契約二」と
いう。)。
4 被告加茂市長の支出命令
被告加茂市長は、平成四年七月三〇日、新潟経営大学建設事業に関して、被告加茂
市収入役に対して建設事業費寄付金五八〇〇万円についての支出命令を行った(以
下、新潟経営大学建設事業に関して被告加茂市長が行う建設事業費寄付金について
の支出命令をすべて「本件支出命令」という。)。
5 被告加茂市収入役の支出行為
被告加茂市収入役は、平成四年七月三〇日、新潟経営大学建設事業に関して、建設
事業費寄付金五八〇〇万円についての支出行為をした(以下、新潟経営大学建設事
業に関して被告加茂市収入役が行う建設事業費寄付金についての支出行為をすべて
「本件支出行為」という。また、本件各議決、本件無償譲渡契約一及び二、本件支出命令、本件支出行為、並びに被告加茂市長と暁星学園との間の、被告加茂市が同
学園に対して新潟経営大学建設事業寄付金を寄付する旨の寄付金契約(以下「本件
寄付金契約」という。)を総称して、「暁星学園に対する公の財産の支出等」とい
う。)。
6 暁星学園に対する公の財産の支出等の違法性
(一) 暁星学園に対する公の財産の支出等は、公の支配の及ばない教育事業に対
して公金その他の公の財産を支出することであり、憲法八九条後段に違反する。
(二) 暁星学園の母体は、宗教法人であり、役員も同宗教法人の構成員が大半を
占め、その教育内容においても毎朝座禅を強要されるという宗教性が認められるも
のであるから、かような暁星学園に対する公の財産の支出等は、憲法二〇条一項後
段(特権の付与禁止)、同条二項に違反する。
(三) 暁星学園に対する公の財産の支出等は、公益上の必要性がないから、地方
自治法二三二条の二に違反する。
(四) 暁星学園に対する公の財産の支出等は、加茂市教育委員会の申出によらな
いで行われたものであり、また本件各議案の提出に当たって、同委員会の意見書の
提出もないから、地方教育行政の組織及び運営に関する法律二三条及び二九条に違
反する。
7 被告加茂市長は、将来、暁星学園との間で本件寄付金契約を締結し、被告加茂
市長及び被告加茂市収入役は、一一億二三八六万一〇〇〇円もの新潟経営大学建設
事業に関する建設事業費寄付金の違法な支出手続をすることが相当の確実さをもっ
て予測されるが、その金額からみて、被告加茂市に回復の困難な損害を生ずる恐れ
があることは明らかである。
8 監査請求
原告は、平成三年一一月三〇日、加茂市監査委員に対し、左記のとおりの請求の趣
旨を内容とする措置請求を行ったところ、平成四年二月三日、(一)ないし(三)
について理由がないとして棄却し、(四)及び(五)は不適法であるとして却下す
る旨の監査結果が原告に通知された。

(一) 加茂市の長は、暁星学園に対し寄付又は財産の処分、譲渡の契約締結をし
ない。
(二) 加茂市の長は、暁星学園に対する寄付又は財産の処分等の議案を提出しな
い。
(三) 加茂市収入役は、同処分等に係る支出をしない。
(四) 加茂市議会は、平成三年一一月二五日の補正予算決定を取り消し、本件に
係る額を減額して修正決定する。
(五) 加茂市議会は、平成三年一二月二一日の予算決定を取り消し、本件債務負
担分を減額して修正する。
しかしながら、原告は、右監査結果に不服があるので、地方自治法二四二条の二第
一項二号に基づき、本件各議決、本件無償譲渡契約一及び二、本件支出命令並びに
本件支出行為の取消し、同法同条項一号に基づき、本件寄付金契約、本件支出命令
及び本件支出行為の差止めをそれぞれ求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1ないし5及び8は認める。
2 同6は争い、同7は不知。
3 被告らの主張
(一) 原告の被告加茂市に対する各訴えは、被告加茂市に被告適格がないうえ
に、加茂市議会の議決は、地方自治法二四二条の二第一項二号の「行政処分」に該
当せず取消しの対象にもならないから、右各訴えはいずれも却下されるべきであ
る。
(二) 原告の被告加茂市長に対する訴えのうち請求の趣旨2(一)及び(三)の
訴え並びに原告の被告加茂市収入役に対する訴えのうち請求の趣旨3(一)の訴え
は、いずれも地方自治法二四二条の二第一項二号の「行政処分」に該当しない行為
の取消しを求めるものであるから、右各訴えはいずれも却下されるべきである。
(三) 原告の被告加茂市長に対する訴えのうち請求の趣旨2(二)について
被告加茂市長は、暁星学園との間で、遅くとも平成四年六月一一日までに被告加茂
市が暁星学園に寄付する新潟経営大学建設事業費寄付金の全額について、寄付金契
約を締結し終えているから、原告の右訴えは訴えの利益がなく、不適法である。  


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2010年04月20日

所得税更正処分等取消請求事件

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○ 主文
一 被告が昭和五四年三月一二日付けでした原告の昭和五二年分所得税の更正のう
ち総所得金額一三一六万三九四九円を超える部分及びこれに伴う過少申告加算税賦
課決定を取り消す。
二 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用はこれを一〇分し、その一を被告の、その余を原告の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求める裁判
一 請求の趣旨
1 被告が昭和五四年三月一二日付けでした原告の昭和五〇年分所得税の更正のう
ち総所得金額二六〇万一八二〇円、納付すべき税額一六万〇七〇〇円を超える部分
及び重加算税賦課決定を取り消す。
2 被告が昭和五四年三月一二日付けでした原告の昭和五一年分所得税の更正のう
ち総所得金額一五八万六六三九円、納付すべき税額四万〇六〇〇円を超える部分及
び重加算税賦課決定を取り消す。
3 被告が昭和五四年三月二一日付けでした原告の昭和五二年分所得税の更正のう
ち総所得金額マイナス一五八七万五一三一円、納付すべき税額〇円を超える部分及
び過少申告加算税賦課決定を取り消す。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 処分の存在
原告は、昭和五〇年分ないし昭和五二年分(以下「本件係争各年分」という。)の
所得税につき、それぞれ別表一の各年分の各「確定申告」の項に記載のとおり確定
申告したところ、被告は、同表の各「更正・賦課決定」の項に記載のとおり更正及
び加算税(昭和五〇年分及び昭和五一年分は重加算税、昭和五二年分は過少申告加
算税)の賦課決定をした(以下、各年分の更正をまとめて「本件更正」、各年分の
賦課決定をまとめて「本件賦課決定」といい、以上の処分をまとめて「本件処分」
という。また、各年分の更正あるいは加算税の賦課決定のいずれかを表示するとき
は「昭和五〇年分更正」あるいは「昭和五〇年分賦課決定」のようにいう。)。
2 不服申立ての経由
原告は、本件処分に対し、別表一の各年分の各「異議申立て」の項に記載のとおり
異議申立てをしたところ、被告は、同表の各「異議決定」の項に記載のとおりこれ
をいずれも棄却する旨の異議決定をした。そこで、原告は、同表の各「審査請求」
の項に記載のとおり審査請求をしたところ、国税不服審判所長は、同表の各「審査
裁決」の項に記載のとおりこれをいずれも棄却する旨の裁決をし、原告は、昭和五
六年七月二八日ころ、その裁決書謄本の送達を受けた。
3 本件処分の違法事由
しかし、原告の本件係争各年分の総所得金額は、各年分の確定申告に係る各総所得
金額を超えるものではなく、被告の本件更正は原告の所得を過大に認定して行つた
違法なものであり、また、本件更正に伴う本件賦課決走も違法である。
4 よつて、請求の趣旨1ないし3に記載の範囲で本件処分の取消しを求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1及び2の各事実は認め、同3は争う。
三 抗弁
1 昭和五〇年分の総所得金額                       
   一九一五万五九一三円
(一) 給与所得の金額                          
    九七万〇〇〇〇円
(二) 事業所得の金額                          
  一八一八万五九一三円
(1) 寿司業に係るもの                         
   一六三万一八二〇円
(2) 金融業に係るもの                         
  一六五五万四〇九三円
(1) 収入金額(利息収入)                       
  一八八一万八七四九円
I 株式会社ナカガワに係る利息収入                    
   五六八万九八五九円
a 手形を割り引く方法による貸付け(以下「手形割引」という。)に係る利息収

                                     
   一四四万八三八三円
原告は、株式会社ナカガワ(以下「ナカガワ」という。)に対し、別表二の(1)
のうち番号4を除くものについては、同表の各「割引年月日」欄に記載の日に各
「受取手形」欄に記載の手形を月六パーセントの割合による割引料で割り引く方法
により、番号4については、同表の「割引年月日」欄に記載の日に「受取手形」欄
に記載の手形を三九万八二〇〇円の割引料で割り引く方法により、それぞれ各「額
面」欄に記載の金額を各「手形期日」欄に記載の日まで貸し付け、各「金額」欄に
記載の利息(貸付期間が二課税年度にわたる場合は、昭和五〇年中の期間に対する
部分の利息であり、その計算方法は月利六パーセントを年利七二パーセントに引き
直した上で日割計算したもの。ただし、円未満切捨て。以下期間利息の計算方法に
つき同じ。)を受領した。なお、右利息は利息制限法所定の最高限度利率(以下、
単に「制限利率」という。)を超えるものであるが、原告は制限利率を超える部分
の利息(以下「制限超過利息」といい、制限利率により計算される部分の利息を
「制限内利息」という。)を含めてその全額を同年中に収受しているので、その全
額が利息収入となる。
b 手形又は小切手を差し入れさせる方法による貸付け(以下「手形貸付け」とい
う。)に係る利息
収入                                   
   四二四万一四七六円
ア 原告は、ナカガワに対し、別表三の(1)の各「(1)元本額」欄に記載の金
額を各「(2)貸付期間」欄に記載の期間(ただし、右各欄が無記入のものは、別
表三の(4)の各該当する番号の項に記載しているとおりであり、同表にも記載が
ないものは、その貸付期間がいずれも昭和五〇年中のものである。)貸し付け、各
「(5)決済」欄に記載の手形又は小切手の決済を受けることにより各「(3)受
取年月日」欄に記載の日に各「(4)受取利息額」欄に記載の利息を受領した。右
利息は制限利率を超えるものであるところ、制限超過利息については、それを受領
した時点で収入となる。
なお、同表の番号2及び18については、昭和四九年九月一七日に返済期日を昭和
五〇年四月一〇日として貸し付けた三〇〇万円及び昭和四九年一〇月五日に返済期
日を昭和五〇年一月二〇日として貸し付けた二〇〇万円に対する利息の支払として
受領した金額八〇万円と同一〇〇万円の小切手二通につき、昭和五〇年五月七日に
八〇万円の小切手が、同年一〇月一七日に一〇〇万円の小切手がそれぞれ決済され
て入金になつたものであるが、右利息のうち、右各貸付けについて昭和四九年中に
発生した制限内利息は同年分の利息収入となるものであるから、これを差し引いた
もの(番号2については七〇万九七四九円、番号18については八八万七一八六
円。なお、制限超過利息はそれを収受した時点における収入となる。)が昭和五〇
年分の利息収入となる。
イ 原告は、ナカガワに対し、別表三の(2)の番号1ないし4及び8の各
「(5)決済」欄に記載の約束手形又は小切手により、各「(1)元本額」欄に記
載の金額を各「(2)貸付期間」欄に記載の期間(ただし、番号3については後記
なお書きのとおりであり、番号4及び8については、それに係る各年分の利息収入
額につき争いがないので記載省略)貸し付け、各「(3)受取年月日」欄に記載の
日に各「(4)受取利息額」欄に記載の利息を受領した。右利息のうち、昭和五〇
年中に発生した制限内利息の額の合計六万七四四一円が同年分の利息収入となる。
なお、同表の番号3の「(6)制限内利息」欄に記載の金額は、同年九月三〇日に
貸し付けた四〇〇万円(内訳は一四〇万円、一三〇万円及び一三〇万円の三口)並
びに同年一〇月一七日に貸し付けた一〇〇万円についてそれぞれ差し入れられた約
束手形が同年三一日に額面五〇〇万円の約束手形一通に書き換えられ、これに対す
る利息の支払として同年一一月二六日、同年一二月二五日、昭和五一年一月二八
日、同年二月二八日、同年三月二五日を各支払期日とする額面三〇万円の約束手形
五通(順に別表三の(1)の番号21及び22、別表三の(2)の番号3、5及び
9の各「(5)決済」欄に記載のもの)が振り出され、いずれも決済されたもの
と、右一四〇万円の貸付けに係る利息の支払として別途振り出された額面三三万八
〇〇〇円の小切手(別表三の(1)の番号20の「(5)決済」欄に記載のもの)
が決済されたものに関するものであるが、右各利息はいずれも制限利率を超えるも
のであるので、別表三の(2)番号3の約束手形が決済される時点における支払済
みの制限超過利息を貸付元本に充当した後の残元本を基に、昭和五〇年及び昭和五
一年の各年中に発生した制限内利息を算出したものである。
I I ナカガワ以外の貸付先に係る利息収入                
    一三一二万八八九〇円
別表四の「昭和五〇年分」欄に記載のとおりである。
(2) 一般経費                             
    二〇万七〇〇六円
原告は、昭和五〇年分の所得税の確定申告において金融業に係る一般経費を申告し
ていなかつたものの、昭和五二年分の所得税の確定申告で金融業に係る一般経費を
申告していたことから、被告は昭和五〇年分についても金融業に係る一般経費の存
在を認めることにしたが、その金額を実額で把握することができなかつたので、昭
和五二年分の金融業に係る収入金額一八五二万九六〇五円に対する同年分の確定申
告において申告された一般経費の額二〇万一三五〇円の割合である一・一パーセン
ト(小数点以下第二位を四捨五入。以下、右の割合を「一般経費率」という。)
を、右(1)の昭和五〇年分の金融業に係る収入金額に乗じて同年分の一般経費を
推計した(ただし、円未満切捨て)。
(3) 支払利息                             
   二〇五万七六五〇円
別表五の(1)の「昭和五〇年分」欄に記載のとおりである。
(4) 昭和五〇年分の金融業に係る所得金額は、右(1)の金額から(2)及び
(3)の金額を控除した一六五五万四〇九三円である。
(3) 昭和五〇年分の事業所得の金額は、右(1)及び(2)の(4)の金額を
合計した一八一八万五九一三円である。
(三) 昭和五〇年分の総所得金額は、右(一)及び(二)の(3)の金額を合計
した一九一五万五九一三円である。
2 昭和五一年分の総所得金額                       
   三一七二万六二九六円
(一) 給与所得の金額                          
    一四万〇〇〇〇円
(二) 事業所得の金額                          
   三一五八万六二九六円
(1) 寿司業に係るもの                         
   一四四万六六三九円
(2) 金融業に係るもの                         
  三〇一三万九六五七円
(1) 収入金額(利息収入)                       
  三三九一万〇六四七円
I ナカガワに係る利息収入                        
  一三〇二万六九九八円
a 手形割引に係る利息収入                        
   五一八万七三七二円
原告は、ナカガワに対し、別表二の(2)のうち番号3ないし6、8、10、1
4、ないし17、21、24、28、30及び35を除くものについては、同表の
各「割引年月日」欄に記載の日に各「受取手形」欄に記載の手形を月六パーセント
の割合による割引料で割り引く方法により、上記番号のものについては、同表の各
「割引年月日」欄に記載の日に各「受取手形」欄に記載の手形を各「割引料」欄に
記載の金額の割引料で割り引く方法により、それぞれ各「額面」欄に記載の金額を
各「手形期日」欄に記載の日まで貸し付け、各「金額」欄に記載の利息(貸付期間
が二課税年度にわたる場合は、昭和五一年分中の貸付期間に対する部分の利息。た
だし、上記番号のもののうち貸付期間が昭和五〇年と昭和五一年にわたるものにつ
いては、当該貸付けに係る利息の額から前記1の(二)の7の(1)のIのaで昭
和五〇年分の利息収入とした金額を差し引いたもの)を受領した。右利息は制限利
率を超えるものであるが、原告は制限超過利息を含めてその全額を昭和五一年中又
はその前年中に収受しているから、その全額が利息収入となる。
b 手形貸付けに係る利息収入(ただし、次のcに記載の貸付けに係る利息収入を
除く。)  


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2010年04月12日

不正競争行為差止等請求事件

債務整理の判例から学習


主    文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
            事実及び理由
第一 請求
一 被告株式会社日本プレジデント(以下「被告会社」という。)は、「日本プレ
ジデント」、「プレジデントクラブ」又は「PRESIDENT CLUB」の表
示(以下あわせて「被告表示」という。)を使用して、旅行券の販売、宿泊施設そ
の他娯楽施設の斡旋、電化製品の割引サービス等のショッピングサービス、フィッ
トネスクラブ利用サービス等のライフサービス、各種イベントの実施等のサービス
を内容とする会員制複合サービス(以下「被告サービス」という。)に係る会員
(以下「被告会員」という。)を募集し、又は、同サービスを実施してはならな
い。
二 被告会社は、被告会員の募集用書類、被告サービスの内容の説明書類、ホーム
ページ、被告会員の会員証、及び被告サービスの実施に関する書類から、被告表示
を抹消せよ。
三 被告会社は、東京法務局新宿出張所昭和六二年一〇月九日受付の設立登記「株
式会社日本プレジデント」の商号中「日本プレジデント」部分の抹消登記手続をせ
よ。
四 被告会社は、原告に対し、金三五〇〇万円及びこれに対する平成一〇年八月二
〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
五 被告【C】(以下「被告【C】」という。)は、原告に対し、金七五〇万円及
びこれに対する平成一〇年八月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を
支払え。
六 被告【D】(以下「被告【D】」という。)は、原告に対し、金二五〇万円及
びこれに対する平成一〇年八月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を
支払え。
第二 事案の概要
 本件は、原告が、①原告の社名等が周知な営業表示であり、被告会社がこれと類
似する営業表示を使用し、混同を生じさせた旨、②被告【C】及び同【D】は被告
会社の代表者として被告会社による右不正競争行為について不法行為責任を負う
旨、③被告会社が不正の目的で原告の営業と誤認させる商号を使用している旨を主
張して、被告会社に対しては、不正競争防止法三条及び商法二一条に基づく営業表
示(商号)の使用の差止等及び不正競争防止法四条に基づく損害賠償を、その余の
被告らに対しては、不法行為に基づく損害賠償を、それぞれ求めた事案である。
一 前提となる事実(証拠等を示したもの以外は、当事者間に争いがない。)
1 原告
 原告は、昭和四六年に「株式会社菜根社」として設立され、昭和五三年に「株式
会社プレジデントクラブ」に、次いで、昭和五五年に現在の商号「株式会社日本プ
レジデントクラブ」に名称を変更した。
 原告は、昭和五四年ころから、「プレジデントクラブ」及び「PRESIDEN
T CLUB」の表示(以下あわせて「本件表示」という場合がある。)を営業表
示として使用して、ホテル、国内線航空会社の優先予約・料金割引・クレジットな
どのサービスを提供するカード会員組織(以下「原告クラブ」という。)の運営を開始した。(弁論の全趣旨)
2 被告会社
 被告会社は、昭和六二年一〇月九日設立され、商号を「株式会社日本プレジデン
ト」とし、旅行業法に基づく旅行業並びにスポーツ及びレジャー(遊園地・宿泊)
施設の利用の斡旋等を主たる業務としている。被告会社は、右業務を遂行するにつ
いて被告表示を使用する組織(以下「被告クラブ」という。)を作り、被告会員に
被告サービスを提供している。被告会社は、会員ガイドブック、会員証、会員募集
書類、ホームページに被告表示を使用している。
3 被告【C】及び同【D】
 被告【C】は被告会社設立時から平成九年三月七日まで、また、被告【D】は同
月八日から現在(口頭弁論終結時)まで、それぞれ被告会社の代表取締役である。
二 争点
1 周知性の有無
(原告の主張)
(一) 「プレジデントクラブ」及び「PRESIDENT CLUB」の表示(本
件表示)は、以下のとおり、原告の営業を表示するものとして周知である。
 原告は、昭和五四年一月、全国の一流ホテルから優先予約、料金割引、独自のク
レジットなどの優待サービスが受けられる社会的信用度の高い会員組織を発足さ
せ、今日まで本件表示を使用してその業務を行ってきた。なお、原告の商号は、昭
和五三年九月に株式会社プレジデントクラブと、昭和五五年六月に株式会社日本プ
レジデントクラブと、それぞれ変更されて、現在に至っている。
 原告クラブの加盟ホテルであることを表示するための金属製のプレートが、加盟
ホテルのフロントカウンターに設置され、その数は全国の一流ホテル七八か所に及
んでいる。また、原告が発行している原告クラブの機関誌「ステイタス」が、加盟
ホテルのロビー等に備え置かれている。右雑誌の読者は、全国一二万人に及んだ。
右雑誌は、一流画家による表紙絵を始め、著名人の執筆記事も多く、外観、内容と
もに文化、教養の高さを感じさせるものであり、昭和五四年以来、平成四年八月ま
で、原告クラブのサービスの一環として同サービスの周知性を取得するに当たっ
て、大きな役割を果たした。
 原告は、昭和五四年ころに集中的に、ダイレクトメール、新聞雑誌広告等の会員
募集活動を行った。
 原告は、会員に対して質の高いサービスを提供し、入会資格制限を設けることに
より社会的に信頼性の高い会員組織を構築した。そのため、原告クラブの会員であ
ることが社会的な価値を有するという意識を生ぜしめ、本件表示は憧れの対象とな
った。
 原告クラブのシステムは、加盟ホテルに対しては基本的に無制限の利用料金を後
払いとするものであるから、原告は多くの一流ホテルに多大の信用があることを裏
付ける。
 このような活動の結果、本件表示は、遅くとも昭和五五年ころには、原告の営業
表示として、それを利用する可能性のある需要者層に広く知られるに至った。
(二) 被告らは、周知性が消滅していると主張するが、失当である。すなわち、過
去に一度周知性を獲得すれば、継続しているものと推定される。営業表示が一度周
知になれば、その周知性維持の方法は、自ずから程度が異なるものであり、営業を
廃止したような特段の事情がない限り、周知性は継続するとみるべきである。原告
が会員に対して質の高いサービスを提供し続けることにより、周知性は維持されて
いる。なお、雑誌「ステイタス」は、現在、次の企画を検討中のため休刊中ではあ
るが、既に取得した周知性が、「ステイタス」の休刊によって失われるものではな
い。
(被告らの反論)
(一) 本件表示は、以下のとおり、昭和五五年当時、原告の営業表示として周知性
を取得していなかった。
 まず、本件表示は、独自性がないか、極めて乏しい。本件表示を構成する語は、
いずれも一般的な言葉であって、本件表示は、一般的な言葉を組み合わせたありふ
れた表示にすぎない。なお、我が国においては、「プレジデント」あるいは「PR
ESIDENT」という言葉は、しばしば、高級な、あるいは立派なという意味合
いで使われる一般的な言葉である。
 また、原告の営業規模は、その主張を前提としても、会員数約三万人と極めて小
さい。また、実際どれだけの人が、年会費を継続して支払い、原告サービスを利用していたのか不明である。
 さらに、原告の営業は、その内容において、独自性のないものであった。すなわ
ち、クレジットサービスは、信販会社が発行する通常のクレジットカードを利用す
ることによりサービスを受けられる。また、優先予約・料金割引についても、昭和
五五年以前から、クレジットカード会社による優先予約や料金割引サービスは始ま
っていたのであるから、原告の営業に独自性はない。
(二) 仮に、本件表示について昭和五五年当時周知性が確立していたとしても、以
下のとおり、遅くとも平成七年八月一〇日までに、周知性は消滅している。
 原告は、数年前より、営業活動を停止中である。少なくとも、新規顧客の獲得活
動はしていない。原告が主要提携先であったと主張する「キャピタル東急ホテル」
は、原告との提携を廃止している。その他のホテルにおける、平成七年以降の原告
会員サービスの利用者は、ほぼ皆無である。大手航空各社は、原告と提携契約を締
結したことはない。キャピタル東急との提携廃止は、原告の債務不履行に起因する
ものであり、このことからも、原告の運営ができないほど会員数が少なかったこと
が推測される。原告の平成九年時点での従業員数は、数名程度であったと思われ
る。
 原告は、少なくとも平成に入ってからは、ほとんど宣伝広告をしていない。原告
は最近の広告宣伝を示す資料を提出していない。原告が提携していると主張するホ
テルの中には、雑誌「ステイタス」を備え付けているところは一つもなく、従業員
等に対する聴き取りによっても、同雑誌を見たことはないとの情報しか得られなか
った。雑誌「ステイタス」は、平成四年七月をもって、廃刊となり、印刷会社の平
成三年の受注部数は七二〇〇部であり、同四年の受注部数は六八〇〇部というよう
に僅かであった。なお、原告の印刷会社に対する売掛債務約二八〇〇万円が未払で
ある。
2 類似性・混同・営業上の利益の侵害の有無
(原告の主張)
 被告表示は、本件表示と外観、称呼、観念において、いずれも著しく類似する。
被告標章の使用により、需要者及び取引者が原告と被告会社とを誤認混同するおそ
れがあり、原告の営業上の利益が害されている。
(被告らの反論)
 争う。原告は、平成七年八月一〇日以前から既に営業を停止しているから、被告
会社が、原告の営業上の利益を害することはあり得ない。
3 損害額等
(原告の主張)
 被告会社の故意による不正競争行為により、原告は以下のとおりの損害を受けた
ので、一部請求として三五〇〇万円を請求する。
 被告会社は、過去三年間に被告クラブの入会者を少なくとも六〇〇〇人集めてお
り、これにより五億五八〇〇万円を下らない売上を上げている。被告会社の純利益
率は売上高の三〇パーセントを下らないので、三年間で一億六七四〇万円の利益を
上げているから、これが原告の損害と推定される。
 本件表示の使用料相当額は、売上高の一〇パーセントを下らないので、過去三年
間の総金額は金五五八〇万円を下らない。
 被告会社による消費者問題となるような営業により、原告はその信用を毀損さ
れ、それによる損害は一〇〇〇万円を下らない。
4 商法に基づく請求の成否
(原告の主張)
 被告会社は、原告の商号に対する信用を利用しようとする不正な目的をもって被
告商号を使用しており、被告商号は原告の営業と誤認させるものであるので、原告
は被告会社に対し、商法二一条に基づき被告商号の使用禁止、抹消登記手続を請求
する権利を有する。
 原告と被告会社の商号が酷似しており、目的としても類似の業務を営んでいるこ
とは、偶然ではあり得ず、被告会社の不正の目的を示すものである。被告会社は、
昭和六二年一〇月に設立されたが、この時期は、原告が昭和五八年五月に資本金を
増資し、昭和六一年一〇月に会員サービスをホテルのみから国内線フライトにも拡
大するという業務拡大を行っていた時期である。同一の目的で営業を行う被告会社
が原告の存在を知らなかったというのは、経験則に反する。被告会社は、当初渋谷
区を本店として登記をしているが、原告は千代田区に登記をしており、両区は近接
していることからも、被告会社が原告の名声を利用しようとしたことは容易に推測できる。
(被告らの反論)
 争う。被告会社の命名の経緯については、被告会社の前代表者である被告【C】
が他社に在職していたときに、成績が優秀であった社員を集めた会合が「プレジデ
ントクラブ」と称されていたことを参考に命名したものであり、原告の名前とは一
切関係がない。  


Posted by のんのん at 15:32Comments(0)

2009年01月17日

あいのり終了(-_-#)

あいのりが終わってしますらしいです・・・

3月いっぱいで終了ってぇ・・・・

大ファンだけに、自殺ものの大ショックヽ(`△´)/

あいのりがあったから、月曜日は頑張って学校行ってた日もあったくらいですから・・・

のんのんはテレビっ子だからほんとかなしいゎぁ(>.<)

気になるのが、今のラブワゴンのメンバー。

どうするんだろう、いきなり告白かぁ。

それはそれでウケるかもです(*^_^*)

明日は、2009年初のネイルサロン 奈良の日です。

ネイルは去年から始めたのですが、長続きしています。

髪と違って指先はよく見えるから、汚くなると気分悪いです。

逆にかゎいいネイル見てるとテンション上がりますしね☆

お友達もみんなやってるし。

今回はダルメシアンにしようかなぁ。

この前スタッフさんがしていてすごくかゎいぃの♪  


Posted by のんのん at 16:27Comments(0)