所得税更正処分等取消請求事件

のんのん

2010年04月20日 12:22

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○ 主文
一 被告が昭和五四年三月一二日付けでした原告の昭和五二年分所得税の更正のう
ち総所得金額一三一六万三九四九円を超える部分及びこれに伴う過少申告加算税賦
課決定を取り消す。
二 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用はこれを一〇分し、その一を被告の、その余を原告の負担とする。
○ 事実
第一 当事者の求める裁判
一 請求の趣旨
1 被告が昭和五四年三月一二日付けでした原告の昭和五〇年分所得税の更正のう
ち総所得金額二六〇万一八二〇円、納付すべき税額一六万〇七〇〇円を超える部分
及び重加算税賦課決定を取り消す。
2 被告が昭和五四年三月一二日付けでした原告の昭和五一年分所得税の更正のう
ち総所得金額一五八万六六三九円、納付すべき税額四万〇六〇〇円を超える部分及
び重加算税賦課決定を取り消す。
3 被告が昭和五四年三月二一日付けでした原告の昭和五二年分所得税の更正のう
ち総所得金額マイナス一五八七万五一三一円、納付すべき税額〇円を超える部分及
び過少申告加算税賦課決定を取り消す。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 処分の存在
原告は、昭和五〇年分ないし昭和五二年分(以下「本件係争各年分」という。)の
所得税につき、それぞれ別表一の各年分の各「確定申告」の項に記載のとおり確定
申告したところ、被告は、同表の各「更正・賦課決定」の項に記載のとおり更正及
び加算税(昭和五〇年分及び昭和五一年分は重加算税、昭和五二年分は過少申告加
算税)の賦課決定をした(以下、各年分の更正をまとめて「本件更正」、各年分の
賦課決定をまとめて「本件賦課決定」といい、以上の処分をまとめて「本件処分」
という。また、各年分の更正あるいは加算税の賦課決定のいずれかを表示するとき
は「昭和五〇年分更正」あるいは「昭和五〇年分賦課決定」のようにいう。)。
2 不服申立ての経由
原告は、本件処分に対し、別表一の各年分の各「異議申立て」の項に記載のとおり
異議申立てをしたところ、被告は、同表の各「異議決定」の項に記載のとおりこれ
をいずれも棄却する旨の異議決定をした。そこで、原告は、同表の各「審査請求」
の項に記載のとおり審査請求をしたところ、国税不服審判所長は、同表の各「審査
裁決」の項に記載のとおりこれをいずれも棄却する旨の裁決をし、原告は、昭和五
六年七月二八日ころ、その裁決書謄本の送達を受けた。
3 本件処分の違法事由
しかし、原告の本件係争各年分の総所得金額は、各年分の確定申告に係る各総所得
金額を超えるものではなく、被告の本件更正は原告の所得を過大に認定して行つた
違法なものであり、また、本件更正に伴う本件賦課決走も違法である。
4 よつて、請求の趣旨1ないし3に記載の範囲で本件処分の取消しを求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1及び2の各事実は認め、同3は争う。
三 抗弁
1 昭和五〇年分の総所得金額                       
   一九一五万五九一三円
(一) 給与所得の金額                          
    九七万〇〇〇〇円
(二) 事業所得の金額                          
  一八一八万五九一三円
(1) 寿司業に係るもの                         
   一六三万一八二〇円
(2) 金融業に係るもの                         
  一六五五万四〇九三円
(1) 収入金額(利息収入)                       
  一八八一万八七四九円
I 株式会社ナカガワに係る利息収入                    
   五六八万九八五九円
a 手形を割り引く方法による貸付け(以下「手形割引」という。)に係る利息収

                                     
   一四四万八三八三円
原告は、株式会社ナカガワ(以下「ナカガワ」という。)に対し、別表二の(1)
のうち番号4を除くものについては、同表の各「割引年月日」欄に記載の日に各
「受取手形」欄に記載の手形を月六パーセントの割合による割引料で割り引く方法
により、番号4については、同表の「割引年月日」欄に記載の日に「受取手形」欄
に記載の手形を三九万八二〇〇円の割引料で割り引く方法により、それぞれ各「額
面」欄に記載の金額を各「手形期日」欄に記載の日まで貸し付け、各「金額」欄に
記載の利息(貸付期間が二課税年度にわたる場合は、昭和五〇年中の期間に対する
部分の利息であり、その計算方法は月利六パーセントを年利七二パーセントに引き
直した上で日割計算したもの。ただし、円未満切捨て。以下期間利息の計算方法に
つき同じ。)を受領した。なお、右利息は利息制限法所定の最高限度利率(以下、
単に「制限利率」という。)を超えるものであるが、原告は制限利率を超える部分
の利息(以下「制限超過利息」といい、制限利率により計算される部分の利息を
「制限内利息」という。)を含めてその全額を同年中に収受しているので、その全
額が利息収入となる。
b 手形又は小切手を差し入れさせる方法による貸付け(以下「手形貸付け」とい
う。)に係る利息
収入                                   
   四二四万一四七六円
ア 原告は、ナカガワに対し、別表三の(1)の各「(1)元本額」欄に記載の金
額を各「(2)貸付期間」欄に記載の期間(ただし、右各欄が無記入のものは、別
表三の(4)の各該当する番号の項に記載しているとおりであり、同表にも記載が
ないものは、その貸付期間がいずれも昭和五〇年中のものである。)貸し付け、各
「(5)決済」欄に記載の手形又は小切手の決済を受けることにより各「(3)受
取年月日」欄に記載の日に各「(4)受取利息額」欄に記載の利息を受領した。右
利息は制限利率を超えるものであるところ、制限超過利息については、それを受領
した時点で収入となる。
なお、同表の番号2及び18については、昭和四九年九月一七日に返済期日を昭和
五〇年四月一〇日として貸し付けた三〇〇万円及び昭和四九年一〇月五日に返済期
日を昭和五〇年一月二〇日として貸し付けた二〇〇万円に対する利息の支払として
受領した金額八〇万円と同一〇〇万円の小切手二通につき、昭和五〇年五月七日に
八〇万円の小切手が、同年一〇月一七日に一〇〇万円の小切手がそれぞれ決済され
て入金になつたものであるが、右利息のうち、右各貸付けについて昭和四九年中に
発生した制限内利息は同年分の利息収入となるものであるから、これを差し引いた
もの(番号2については七〇万九七四九円、番号18については八八万七一八六
円。なお、制限超過利息はそれを収受した時点における収入となる。)が昭和五〇
年分の利息収入となる。
イ 原告は、ナカガワに対し、別表三の(2)の番号1ないし4及び8の各
「(5)決済」欄に記載の約束手形又は小切手により、各「(1)元本額」欄に記
載の金額を各「(2)貸付期間」欄に記載の期間(ただし、番号3については後記
なお書きのとおりであり、番号4及び8については、それに係る各年分の利息収入
額につき争いがないので記載省略)貸し付け、各「(3)受取年月日」欄に記載の
日に各「(4)受取利息額」欄に記載の利息を受領した。右利息のうち、昭和五〇
年中に発生した制限内利息の額の合計六万七四四一円が同年分の利息収入となる。
なお、同表の番号3の「(6)制限内利息」欄に記載の金額は、同年九月三〇日に
貸し付けた四〇〇万円(内訳は一四〇万円、一三〇万円及び一三〇万円の三口)並
びに同年一〇月一七日に貸し付けた一〇〇万円についてそれぞれ差し入れられた約
束手形が同年三一日に額面五〇〇万円の約束手形一通に書き換えられ、これに対す
る利息の支払として同年一一月二六日、同年一二月二五日、昭和五一年一月二八
日、同年二月二八日、同年三月二五日を各支払期日とする額面三〇万円の約束手形
五通(順に別表三の(1)の番号21及び22、別表三の(2)の番号3、5及び
9の各「(5)決済」欄に記載のもの)が振り出され、いずれも決済されたもの
と、右一四〇万円の貸付けに係る利息の支払として別途振り出された額面三三万八
〇〇〇円の小切手(別表三の(1)の番号20の「(5)決済」欄に記載のもの)
が決済されたものに関するものであるが、右各利息はいずれも制限利率を超えるも
のであるので、別表三の(2)番号3の約束手形が決済される時点における支払済
みの制限超過利息を貸付元本に充当した後の残元本を基に、昭和五〇年及び昭和五
一年の各年中に発生した制限内利息を算出したものである。
I I ナカガワ以外の貸付先に係る利息収入                
    一三一二万八八九〇円
別表四の「昭和五〇年分」欄に記載のとおりである。
(2) 一般経費                             
    二〇万七〇〇六円
原告は、昭和五〇年分の所得税の確定申告において金融業に係る一般経費を申告し
ていなかつたものの、昭和五二年分の所得税の確定申告で金融業に係る一般経費を
申告していたことから、被告は昭和五〇年分についても金融業に係る一般経費の存
在を認めることにしたが、その金額を実額で把握することができなかつたので、昭
和五二年分の金融業に係る収入金額一八五二万九六〇五円に対する同年分の確定申
告において申告された一般経費の額二〇万一三五〇円の割合である一・一パーセン
ト(小数点以下第二位を四捨五入。以下、右の割合を「一般経費率」という。)
を、右(1)の昭和五〇年分の金融業に係る収入金額に乗じて同年分の一般経費を
推計した(ただし、円未満切捨て)。
(3) 支払利息                             
   二〇五万七六五〇円
別表五の(1)の「昭和五〇年分」欄に記載のとおりである。
(4) 昭和五〇年分の金融業に係る所得金額は、右(1)の金額から(2)及び
(3)の金額を控除した一六五五万四〇九三円である。
(3) 昭和五〇年分の事業所得の金額は、右(1)及び(2)の(4)の金額を
合計した一八一八万五九一三円である。
(三) 昭和五〇年分の総所得金額は、右(一)及び(二)の(3)の金額を合計
した一九一五万五九一三円である。
2 昭和五一年分の総所得金額                       
   三一七二万六二九六円
(一) 給与所得の金額                          
    一四万〇〇〇〇円
(二) 事業所得の金額                          
   三一五八万六二九六円
(1) 寿司業に係るもの                         
   一四四万六六三九円
(2) 金融業に係るもの                         
  三〇一三万九六五七円
(1) 収入金額(利息収入)                       
  三三九一万〇六四七円
I ナカガワに係る利息収入                        
  一三〇二万六九九八円
a 手形割引に係る利息収入                        
   五一八万七三七二円
原告は、ナカガワに対し、別表二の(2)のうち番号3ないし6、8、10、1
4、ないし17、21、24、28、30及び35を除くものについては、同表の
各「割引年月日」欄に記載の日に各「受取手形」欄に記載の手形を月六パーセント
の割合による割引料で割り引く方法により、上記番号のものについては、同表の各
「割引年月日」欄に記載の日に各「受取手形」欄に記載の手形を各「割引料」欄に
記載の金額の割引料で割り引く方法により、それぞれ各「額面」欄に記載の金額を
各「手形期日」欄に記載の日まで貸し付け、各「金額」欄に記載の利息(貸付期間
が二課税年度にわたる場合は、昭和五一年分中の貸付期間に対する部分の利息。た
だし、上記番号のもののうち貸付期間が昭和五〇年と昭和五一年にわたるものにつ
いては、当該貸付けに係る利息の額から前記1の(二)の7の(1)のIのaで昭
和五〇年分の利息収入とした金額を差し引いたもの)を受領した。右利息は制限利
率を超えるものであるが、原告は制限超過利息を含めてその全額を昭和五一年中又
はその前年中に収受しているから、その全額が利息収入となる。
b 手形貸付けに係る利息収入(ただし、次のcに記載の貸付けに係る利息収入を
除く。)